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「LGBT」「性同一性障害」など性的少数者の人権、セクシュアリティの多様性、クィア論、男女共同参画などや、そうした観点に引きつけてのコミュニケーション論、メディア論など、ご要望に合わせて対応いたします。※これまでの実績などはお知らせブログにて

40年後のガッチャマン [メディア・家族・教育等とジェンダー]

「たびたびスミマセン(^^ゞ さらに引き続き、またもや佐倉智美 著・小説『1999年の子どもたち登場人物の佐倉満咲です;」

「例によって同じく、栗林理素奈です」

学級委員の桜庭詩諳です。今日は歩ちゃんが病院の診察の日なので、私が代わりなのです」

「本編の作中では、まだこの時期の私たちは歩クンのそういう細かい事情、知らないんだけどね、本当は」

「ソレを言うなら、私だって本格的にストーリーに絡んで、みんなと仲よくなるのは9月からの文化祭編第3巻参照)以降だったり;」

「……クリスマスパーティ翌日に風邪ひきのミサキちゃんを介抱するシーン(第4巻参照)は百合アトモスフィア全開よね(*^_^*) あれはやっぱり《愛の告白》??」

「いえいえ私なんて、春休みに海浜幕張のホテルでダブルベッドが役立つことになる(第7巻参照)ソナちゃんには、敵いませんヨ(*^_^*)」

「はいはい2人とも、本編作中じゃ互いに知り得ない情報で会話しない(^^ゞ」

「そうだったね」

「ゴメンね、ミサキ」

「で、ミサキちゃん、前記事前々記事に続いて、私たち3度めの召集なんだけど、今度は何??」

「いゃぁ、またお父さんからの指令でさ、【キミたちに集まってもらったのは他でもない。『響け!ユーフォニアム』←→『エースをねらえ』のような比較対象を的確に設定した新旧作品比較には大いに意義があった。この機会に他にも済ませておくべき案件があれば取り組んでおくのが望ましい。そこでキミたちの使命だが、それを《ガッチャマン》についておこなうことにある。ギャザー、ゴッドフェニックス発進せよ!】ということなんだ……(^_^;)」

「大変ねぇ、ミサキも(^^)」

「ガッチャマン……って、昔のアニメのヒーローだっけ??」

「そう、1970年代にやってた『科学忍者隊ガッチャマン』が、そもそものオリジナル。いろいろ凝ったストーリーと丁寧な設定で、今も高く評価されてると聞いてるよ。ただ、チームヒーローとして5人のメンバー中に女性は1人だけで、ジェンダー的には質・量ともに、いわゆる紅一点問題を典型的に露呈していたという批判も今となっては免れないとも……」

「たしかに白鳥のジュンの役回りは、1970年代当時にはそれなりに挑戦的だったかもしれないけど、現在の肥えた目で見てしまうと、ものすごく類型的だと言わざるを得ないでしょうね」

「……でもガッチャマン、最近リメイクされたのよね?」

「そう。2年前に首都圏などでオンエアされてた『ガッチャマンクラウズ』。関西では放送されなくて、この前やっとニコニコ動画で観れたって、お父さんウルさくてさぁ(^^ゞ」

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(画像は公式のサイトより。以下は本記事中は配信画面より。 →NTV公式サイト

「やっぱり、旧作とはいろいろ違ってたりするの?」

「うん、基本的に旧作とはまったくちがう新しいガッチャマンだった。作中の設定で舞台となってるのが、やっぱり2015年なんだけど、これもまた真の2015年クォリティの《ヒーロー物語》って感じ。すごいヨカッタし、おもしろかった!」

「テーマとしては、SNSに潜む様々な危険性をきちんとふまえつつ、それでもそうした新しい情報通信ネットワークがひとりひとりの端末を介して人々の善意を的確につないでいくことによって社会をよりよく動かしていく可能性を描いてる……んだっけ?」

「だいたいそんな感じかな。その結果、【ヒーローとは何か】という命題の21世紀における解答例も示してたと思う」

ジェンダー観点で評価したらどうなるのかしら。男女混成のチームヒーローなのに主人公が女子高校生なんでしょ?」

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「いゃあ、一ノ瀬はじめチャン、最高だよ。彼女が主体的に行動することが積極的に物語を動かしていく様は、まさに新時代男性的な正義の論理を優先する社会の中で周縁化されてきた女性的な価値基準が今こそ重要だと、わかりやすく描かれた、いわば《ケアとキュア》のガッチャマンだね。以て、この2015年が、旧作『科学忍者隊ガッチャマン』の時代の紅一点問題を何段階も超越した位置にあることを心地よく再確認できる仕上がりだったヨ♪」

「この図版とか、女の子の変身なのに変身後の意匠が、あえて顔まで隠れる《特撮スーツ》タイプで露出控えめってのも珍しくないの?」

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そのとーり。あと、はじめチャンの豊満な胸も、一見するとただの《サービス》に見えるけど、これにもちゃんと意味がある。ラストのナニを《少女の自己犠牲による世界の救済》と批判するのもできなくはないけど、ソコまで悲壮にも描かれてないしねー」

「それから、一ノ瀬はじめチャンってボクっ娘なんだよね」

「そうそう。さらにもうひとり一人称がボクな女の子が出てくるように見える」

ボクっ娘が2人も出てくるなんて、私たちと張り合うつもりかしら(^^)」

「……ハハハ、奇遇だねぇ(^o^;)」

「ただ、そのボクっ娘に見える累クンって女装少年なんじゃなかったっけ」

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「ボクっ娘が女装少年!? どこまで……!!」

「しかもその累クンが女装少年として行動している理由を誰も追及しない! 視聴者から見れば、人目を欺く変装なだけともとれる一方、ラストで事態が収束した後の生活でも女装状態を継続してて、さらには女友達ができて嬉しそうな描写もあったから、何らかの性別違和を持っているがゆえにも思える。でも結局のところ作中では、それはべつに累クンがそうしたいからそうしているだけで、ソレでべつにかまわないというスタンスになってる。これはプリパラのレオナにかかわる描写の先がけとなってたわけだね」

「………むしろ理由があるのは、もう古いのかしら?」

「大丈夫よ。ソコまで言わなくても(^_^;)」

「他にも異星人とのハーフでベテランのメンバーという設定のO・Dさんにも《おネェキャラ》属性を入れてあるし、ストーリー全体を通じた敵として存在するベルク・カッツェも、もちろん性別不詳だから、はじめチャンの一人称がボクなことを除いても、なんとトランスジェンダルなキャラクターがしれっと3人も登場し、そのこと自体は何ら問題視されずに、各々のキャラは役割を果たしてることになる。これはプリパラのレオナも驚く画期的さで、かなり攻めた設定だと評価すべきでしょ」

「ベルク・カッツェって、同名のキャラクターは旧作『科学忍者隊ガッチャマン』から登場してるんじゃなかった?」

「そーなんだよ。旧作での敵の中ボスがベルク・カッツェで、そのときからすでにトランスジェンダルな属性が入ってたんだ。じつはその正体は本来は男女の双……」

「ミサキちゃん、ダメーーーぇぇっ!!!

 それ、ものすごぉぉーく私たちのネタバレ!
  アタヽ(д`ヽ彡ノ´д)ノフタ 」

「……なんかものすごくヤバかったっぽいわねw」

「悪かった; いやはやまったくもぉ、作者ったら旧作ガッチャマンどストライク世代なんだから(^^ゞ」

「ともあれ『ガッチャマンクラウズ』に関しては、今月から2期の『ガッチャマンクラウズ インサイト』が始まってるみたいだし、要チェックじゃない? →NTV公式サイト

「そ~だね。新キャラとして追加登場するガッチャマンも、変身するのは個性的で魅力いっぱいの女子高校生ということで、キービジュアルなんか見ると、ほとんど《ふたりはプリキュア》状態w」

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「……コレはもう、1970年代の人に見せて【これが40年後のガッチャマンです】って言っても、信じてもらえなさそうねw」
※じつは旧作『科学忍者隊ガッチャマン』第100話のサブタイトルが「20年後のガッチャマン」だったりします

「むしろ2011年前後へ持って行ったら【これ来年のプリキュアの流出バレ画像!】と人を担げそうなくらいだろ(^^;)」

「私たちの本編作中で2学期の文化祭のクラスの劇でミサキが書く台本が変身美少女戦士モノ第3巻参照)なのも、こういうリアル2015年の状況に鑑みると、ホントにさもありなんって感じだね」

「いやはや;」

「というところで、その文化祭の準備も控えてる本編作中に戻りましょうか」

「では皆様、今日のところもそろそろお開きに…」

「またね~(^^)ノ」



  

  

  

  §全7巻§


◇◇


響けユーフォニアムがエースをねらえよりむしろプリキュアに似てる件!? [メディア・家族・教育等とジェンダー]

「ど~もー、前記事に引き続き、またまた佐倉智美 著・小説『1999年の子どもたち登場人物の佐倉満咲です(^o^;)」

「同じく黒沢歩です……」

「やっぱり同じく、栗林理素奈で~す;」

「ぃや~、期末テストも終わって一息だねぇ」

「ボク、ちょっと赤点が心配…」

「歩クンは大丈夫でしょ。……それより前記事でとりあげた『響け!ユーフォニアムも、アニメのほうは最終回がすでに済んだわね」

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(放送画面より。以下、響けユーフォニアムとプリキュア画像は本記事中は同じ)

「もぉ めっちゃ感動だったよね。……ボクもやっぱなんか部活しておけばよかった気がしてきたよ(^^ゞ」

「ボクたちはストーリーの行きがかりで下校部(帰宅部)になっちゃったからねー」

「作中の時系列だと、今頃って、ちょうどアニメ第10話のあたりなのかな」

「第13話の吹奏楽の京都府大会の本番が、ボクたちが福井県坂井市三国へ臨海学習会に行ってる頃あたりだそうだよ」

「じゃぁ、私たちが京都駅前に買い物に行く日は、向こうのアニメ第12話くらいに相当するのね。帰りに電車が宇治川渡るときに黄前久美子チャンが橋の上で叫んでないか、よく見とこぅっと(^^)」

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「それはそうと、どうしてボクたちまた前記事に続いて再登場なの?」

「そうそう。お父さんからちょっとアドバイスをもらってさ。『響け!ユーフォニアム』原作者がセーラームーンネイティブ世代という点に着目するなら、もっと現時点でのプリキュアシリーズとの相同性をていねいに整理しとけとか、『エースをねらえ』を引き合いに出すなら昭和のスポ根モノとの差異をもう少し具体的に比較しろとかね」

「さすが作者、なかなか的確ねぇ(^o^;)」

「……つまるところ『響け!ユーフォニアム』を概観して強く感じられるのが、物語の基本線キャラ配置のメソッドに、プリキュアシリーズと共通するところが大きいってことで」

「そうなんだ……」

「まずもってそれを象徴するのが、アニメ『響け!ユーフォニアム』OP主題歌『DREAM SOLISTER』が、なんか女の子が変身して戦うようなアニメの主題歌っぽく聞こえることだったり……」

 

「そういえばエンディング主題歌の『トゥッティ!』のCDでcwになってる『ベルアップ!』も、なんだかプリキュアシリーズのエンディング主題歌によくありがちな内容だよ」
※「トゥッティ/Tutti」はイタリア語で、音楽においては全員そろっていっしょに演奏することの意

 

「で、滝先生の位置づけが、ドキドキプリキュアのジョー岡田氏ていどの重要……というのも、あながち単なる中の人ネタではなくて、なかなか思った以上に正鵠を射た比喩かもしれないし…」

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「この黄前久美子×塚本秀一関係性は、ハピネスチャージプリキュアでの 愛乃めぐみ×相楽誠司相似形なんだよね」

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「言われてみると、キャラ配置なんかも……。加藤葉月チャンは、5人編成プリキュアでの赤の人に相当してるし…」

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川島緑輝と書いてサファイアちゃんは、いかにも黄色プリキュア(^^)」

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「あと、そのデンで行くと高坂麗奈チャンは、いわゆる紫プリキュア的な立ち位置なんだけど、初期の久美子との緊張した関係は、ハピネスチャージプリキュアでの ひめ×いおな と照応しているようにも解釈できるよね」

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「なるほどな。部活モノのジャンルで、新着任の指導者を迎えて全国大会をめざすストーリーなのに、昭和のスポ根アニメとよりも、むしろプリキュア等を連想させられるようなつくりになってるというのは、やはり若い世代の創作者の新しい感覚によるところで、今風のゆえんなんだね」

「でね、『響け!ユーフォニアム』原作小説2巻を読むと、ますますだよ。夢が叶わなかった絶望やふとした誤解からの友情のすれ違いによって心を閉ざしてしまった少女が《ラスボス》で、その救済と、和解、友情の恢復がクライマックスになってるの」

「それ、たしかに昨今の《女児アニメ》の鉄板の題材だもんねー。アニメ化すればまさに変身バトル抜きバージョンのプリキュアだよ(^^;)」

「だから、1992年生まれの女性が《女性主人公たちが部活で全国大会をめざして奮闘する「スポ根」青春小説》を書いたら、往年の『エースをねらえ』のようなテンプレをいちおうは下敷きにしているようでいて、それにもかかわらず、むしろプリキュアとそっくりと言ってもよい物語ができたというのは、やはり大きな意味がある……。そのあたりをお父さんもおっしゃってるのね」

「じゃぁ、一方での、その『エースをねらえ』とは、どんなふうな点が相違するんだろ?」

  

(原作コミックや全シリーズのアニメを仔細にチェックすると別途ありえるとしても)いちおうコンパクトにまとまっている1979年の劇場版アニメに準拠すると、まず前記事から書いてるとおり、滝先生と宗方コーチの位置づけがゼンゼンちがってる。加えて、滝先生本人は難病で死んじゃったりしない」

「ソコも巧妙にズラしてあるけど、『響け!ユーフォニアム』では才能を買われて上級生を差し置いて抜擢されたことで反感を抱かれてしまうのが麗奈チャンで、メイン主人公ではないというのも、巧妙なズラしだわ。てゆーか、吹奏楽の力量的には麗奈チャンこそが『エースをねらえ』のお蝶夫人に相当するところとかも」

「だからこそ久美子×麗奈の深い関係性がこってりと描写可能になってるわけかぁ」

「……『エースをねらえ』では《百合》描写はないの?」

「うん。……今の視点だと、何か物足りないのはソコね。岡ひろみ×愛川マキの関係が薄味でストイックに見えちゃう;」

「今ならもっとシンフォギアの立花響と小日向未来のようなディープな方向もありうるはずだもんなぁ。……世界へ羽ばたこうとするひろみを応援し、自分はひろみが帰ってくる場所を守っていると言うマキに[愛川マキは、私にとっての陽だまりなの。マキのそばがいちばんあったかいところで、私が絶対に帰ってくるところ(はぁと)]みたいに返すとか見てみたいゾ(*^_^*)」

「そのへんが時代的な限界? 当時はその発想はなかったのかしらね」

「で、やっぱ『エースをねらえ』では《男》の存在感がやたら大きいよ。男子テニス部の藤堂先輩なんて主人公・岡ひろみとアッサリとフラグを立てては、やすやすとソレを回収していくんだから、久美子チャンの幼馴染・塚本秀一クンが見たら羨むことこの上なしw (そしてソコは秀一クン「俺ももし昭和に生まれていたら…」ではなく「俺も女だったら麗奈と対等に張り合える…」のほうへ行ってほしい(*^_^*))」

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(劇場版エースをねらえ画面より。以下、本記事中は同じ)

「そういえば岡ひろみと宗方コーチとの関係性も、いわば強い絆として作劇の中心になってるわ。この点は『響け!ユーフォニアム』では、麗奈チャンは滝先生にLOVEとはいうものの、アニメではそのことをセリフで説明した以上の演出はほとんどないし、あまつさえ恋愛ボケ描写などは避けられてる。むしろ強調されていたのは、音楽に対しての純粋で真っ直ぐな思いと、あとは久美子チャンとの深い心のつながり(*^_^*)」

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「『エースをねらえ』だと、岡ひろみが抜擢されたときに、ただそれだけで羨望や嫉妬の念を周囲から向けられてしまい、それがいわゆる《女は陰湿》という印象をミスリードしてしまう問題があったのを、『響け!ユーフォニアム』は慎重に回避してるのも大きいよ。紛糾したきっかけは選考に不正があったのではないかという疑惑だし、それを執拗に追及する先輩側にも、周到にドラマが用意してある。全員の行動の動機が、音楽への思い、部活へのひたむきさ、他者への思いやりになっていて、本当に《誰も悪くない》んだから」
※『エースをねらえ』でもテレビシリーズでそのあたりを補完するエピソードは描かれているそうです→ http://www.style.fm/as/05_column/animesama01.shtml 他にもひろみとマキをはじめ女性キャラどうしのつながりについても

「ともあれ、こんなふうに比較対象のサンプルとして適切なものを定めて共通項でくくり、その上で相違点を洗い出すと、最新作の何が新しくて21世紀的で、この先はどう変わっていくべきなのかも考えやすいし、逆に旧作のどこが古く因習的で何が昭和っぽいのかがハッキリ認識できるからわかりやすいわね」

「そして大きなちがいの何が核心かというと、複数の女性キャラに多層的な関係性をつくって物語を動かして描いていくメソッドが、《セーラームーン以降》に象徴される蓄積によって、この2015年においては確立しているってことじゃないかい?(人数的にもアニメ化においては女声声優の層の厚さが相当なものになってるだろうし)」

「そういう意味では『響け!ユーフォニアム』は、まさに《プリキュア10周年時代のスポ根青春ドラマ》なのね」

「そのうえで、そうした点を差し引いて『エースをねらえ』を観直してみると、当時の枠組みで可能な範囲で、ジェンダー問題等々にもかなり挑戦的に取り組んでいたことがわかるから、そこのところは過小評価してはいけないだろうねぇ」

「『岡には女を超えてもらう』みたいな宗方コーチのセリフとか、何より、まずもって女性主人公なこととか?」

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「うん。それから、特に1979年公開の『劇場版エースをねらえ』は《スポーツ》《根性》よりも《青春》に重心を置いて組み立てられているせいもあって、高校生がひたむきに何かに取り組む様子は、思った以上に【なんだ、今も昔も、そんなに変わらないじゃん】という印象も強かったりする」

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「学園、青春。そして友情、努力……。そういうのってじつはものすごく普遍的なんだね」

青春時代の尊さは昔も今も変わらないんだ……」

「……というわけなので、ボクたちも、自分たちの小説本編の生活に戻ろうか」

「そういえばミサキの誕生パーティがもうすぐだね」

夏休みになったら臨海学習会。いよいよ序盤のヤマ場ね。……しっかり思い出つくりましょ♪」

「ではでは皆様、また~(^^)ノシ」



  

  

  

  

  §全7巻§


◇◇


『響け!ユーフォニアム』を隣の城陽市から検証する [メディア・家族・教育等とジェンダー]

「ど~もー、佐倉智美 著・小説『1999年の子どもたち』登場人物の佐倉満咲です♪」

「同じく黒沢歩です……」

「同じく、栗林理素奈です」

「というわけでボクたちと同様に、現実世界の作者の娘さんである佐倉満咲チャンも本当に高校1年生になったということで、いよいよリアルに西暦2015年度だねぇ」

「私たちのこの山城ヶ丘高校は京都府立で、現実でのミサキちゃんが通うのは大阪府立の高校だったりするけどね」

「ともあれ、西暦1999年度生まれの子どもたちが高校生になる2015年度が舞台の、このボクたちの小説世界だけど、最初に世に出た10年以上前には、まだリアル満咲チャンは保育園児だったんだからなぁ……。月日の経つのはなんとやら」

「リアル満咲チャン、この小説世界のミサキとは、だいぶ違ったキャラに育ったんだって?」

「そうよね。むしろ(第7巻の外伝で)大学生になった時点の私に近いのかしら?」

「あぁリソナ、それナイス。言い得て妙かも(^^ゞ」

「……他にも初出執筆時には思いもよらなかった状況が、実際のリアル2015年にはいっぱいあるんだろ?」

「そらまぁ、スマートフォン全盛で[ LINE ]がコミュニケーションの基幹インフラになってる現実世界を10年以上前に的確に予測するのは無理だったわけで、その意味では作中では『ミノフスキー粒子』設定で携帯電話は使えないことにしといてマジよかったって作者こないだ言ってた」

「そういうところって近未来小説、ホントに難しいのね」

「でも、やっぱ、ジェンダー・セクシュアリティ系、セクシュアルマイノリティ、性の多様性にかかわる各種の状況に、予想をこえて進展した部分が少なくなかったというのも大きいらしい」

「たしかに直近では渋谷区のアレもあったし、各地でレインボーパレードLGBT成人式がさかんにおこなわれたり、セクマイサークルがある大学も珍しくなかったり……」

「あと、昨今のマンガ・アニメ・ライトノベルなど、ポピュラーカルチャーの分野がめざましく進化してるよね。……ほら、ボクとアユが一人称がボクなせいで、4月のホームルームの自己紹介がちょっとモメたじゃん」

「……ぅん」

「でも、あの時点から半年前にあたる現実の2014年の秋にオンエアされたアニメ『プリパラ』の第18話では、同じように普段から一人称がボクな女性キャラが転校先での自己紹介のときにそのことを揶揄されるシーンがあって……」

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※放送画面よりキャプチャ。以下も

「わ~、コレはホントに神対応ねぇ」

「こういうふうなのが子ども向け番組で、ごく自然に描かれる時代なんだね」

プリパラ18話といえば他にもアレなんだけど、それを置いても、今じゃ他にも日常系百合アニメとかもフツーにあったりするしね。だからボクたちの作品世界でのいろいろ百合百合しいシーンなんかも、執筆当時はかなり先進的なほうなはずだったんだけど、もはや決して珍しくはないかな」

「なるほど、時代は着実に動いてるんだね」

「あっ、ところでアニメといえば……」

「どうしたの、リソナ?」

「うん『響け!ユーフォニアム』……

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※公式のサイトからキャプチャ。以下相関図も同様で他は放送画面より

 ……って知ってる??」

「あっ観てる! KBS京都だよね、お父さんが録画してる(^_^;)。吹奏楽部で活動する高校生の青春ストーリーで、すごいオモシロイ」

「うん、細かな説明はアニメ公式サイトなどに詳しいとして、私はこないだ原作の小説を読んだんだけど、あの舞台の学校って北宇治高校なのよ」

「……北宇治?」

宇治はこの山城ヶ丘高校がある東山城市の北隣の市だよ。歩クンも通学途中に電車で通るし、私の家だって宇治市内だよ」
※「東山城市」は『1999年の子どもたち』作中での架空の市名で、21世紀のはじめに城陽市・井手町・山城町が合併してできたという設定です。現実の市町村合併の状況とは異なります。「山城ヶ丘高校」も架空の学校名です

「うん。たしか六地蔵の駅で降りる子たちが、その北宇治高生っぽい……」

「今風に進化したセーラー服タイプの女子制服がカワイイのよね」

「そうだね。あの制服、リソナに似合いそう(^^)。北宇治は志望校に考えなかったの?」

「私はワケアリだから、同じ中学の子があまり行かない高校で、一度いろいろリセットしたかったし……」

「ソレって『響け!ユーフォニアム』主人公の黄前久美子チャンが同様のことを言ってたヨ」

「リソナの場合は似て非なる事情だよね。ボクも…………」

「……だね。それにしても、この山城ヶ丘高校の京都府立高校としては隣にあたる北宇治高校がアニメ化かぁ、いいよなぁ。ボクたちだってアニメになりたい!

「まぁまぁミサキ、熱くならないで(^o^;)」

「ロケーションとしては南北に数キロメートル離れてるだけで、京都府南郊の丘陵部中腹に位置する坂道の上の校地っていうのは共通だもんね。だからアニメOPに出てくるこういう眺望とか……」

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「たしかに、なんか親近感が湧くねー」

「あと、学校の景色とか」

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「ホント、ビミョ~にデジャヴ(^^)」

「他にもウチの学校の裏手の向こうのほうにある太陽公園も出てくるし……」

「吹奏楽の強豪校・私立の立華高校なんかもそのまんまよね」

「立華高校はボク、受験で併願したところだよ(^^;)」

「原作小説の2巻以降だと太陽公園のプールに遊びに行くシーンもあるよ。……私たち3人も8月の後半に行くよね」

「ほほぅ、向こうとのエンカウントはないのかね」

「残念ながら日付が若干ズレてます。私たちのほうが数日だけ後」

「あっ、それじゃボクたちのほうが『ここがあの場所かぁ!』みたいに聖地巡礼できるネ」

「そういう問題なの、ミサキ?(^^ゞ」

「……他にもJR京都駅とかともカブってるよ。向こうは秋のイベントで、室町小路広場のステージで演奏を披露しに行くの」

「京都駅の駅ビルって、なんかいろいろ……大きいよね」

「7月になったらボクたち、みんなで買い物に行くよ。あと11月にはボクとアユがデートする!」

「えっ、ミサキとボクがデート……」

「正確に言うとアユじゃないナ; 今も後ろに立ってる子なんだけど」

「はいはいミサキちゃん、こっち側のネタバレはそのくらいにして……」

「了解。というわけでまとめると、ボクたちが8月前半に行く[ 臨海学習会 ]、ざっくり言うと夏合宿の行き先が、やっぱり現実世界で前年の2014年夏にオンエアされてたアニメ『グラスリップ』の舞台(福井県坂井市三国地区)とカブったのに引き続き、ズバリ2015年の春には本拠地の場所が微カブりしたのが『響け!ユーフォニアム』ということでOK?」

「はい。そんな『響け!ユーフォニアム』なんだけど、これがなかなか、いろいろスゴイと言われてます」

「アニメ第8話とか神回だったよね。主人公・黄前久美子ともうひとりのキーパーソン高坂麗奈の2人が、ひょんなことからお祭りにいっしょに行くことになったものの、雑踏を避け、楽器を担いで山の中腹の展望台にのぼることで、両者の距離がグッと縮まるという………萌えるねぇ(*^_^*)」

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「ところが、この2人各々気になる男性もいるのね。麗奈チャンは顧問のイケメン先生に心酔してるし、久美子チャンはといえば幼馴染の男の子・塚本秀一クンとフラグ立ちまくりだし」

「い、いったいどっちが本当の気持ちなの?」

「そのあたりが、視聴者の間でもちょっと論争になってたりするの」

「まぁ、ボクたちの立場からすれば【どちらも本当】でかまわないんだけどねー(^^ゞ」

「ちょ、だからミサキちゃん、こっち側のネタバレ(それもかなり核心部分)はもういいから; ともあれ、まだまだ世間一般には、白黒ハッキリさせたうえで公式カップリングをひとつに決めたがる人も多いってことね」

「強いて言えば、アニメ公式サイト人物相関図なんかでも、やっぱり謎の引力が強調されてるのは久美子×麗奈のほうだし……

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 ……展望台の上で2人が合奏した曲が奥華子愛を見つけた場所というのも意味深すぎるし、それに……

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 ……エンディングのタイトルバックではこの2人に赤い糸がつながってるから、少なくともアニメが物語の主軸としてプッシュしてるのは、この2人の関係性のほうなんじゃない?」

「そう。そうなの。そして、ソレをふまえて原作を3巻&外伝短篇集(事実上4巻)まで読み進めると、麗奈チャンの先生への気持ちも丁寧に拾ってエピソードに織り込まれてるし、久美子×秀一フラグも然るべき形で回収されていくんだけど、でも、決してそういう異性愛要素が、それこそが最も素晴らしい至上の価値を持つものというふうにはならないのよね」

「オーソドックスな少女マンガだったりしたら、主人公の恋愛成就が物語の主題になりがちだったもんだけど……」

「あー、ボク、少女マンガのそういうとこ苦手なんだ」

「……でも『響け!ユーフォニアム』では、女の子どうしの親密な関係性が、異性との恋愛と対等、もしくはソレ以上の扱いってのも、時代だねぇ」

「男性キャラとの恋愛感情に基づく関係性も女性キャラを構成する一要素として、ただしあくまでも最重要ではない一部分にとどめて取り入れながら、異性間恋愛も同性間の親密性も、全部アッサリ対等に並列的に扱う『響け!ユーフォニアム』。 これはまさに真の2015年クォリティね!」

「相手が異性であろうと同性であろうと、それぞれ、一般的な通念に照らして「友情」とされるものも、ソレを越えるようなものも、べつに成り立ってイイはずだもんなぁ(^^)」

「それに、アニメ8話も発端は安易な《男がらみの三角関係で女の子どうしの人間関係がギスギス》展開かと思わせといて、最後は巧妙に丸く納めてるけど、それと並んで9話以降、大会出場の代表メンバー選抜オーディションに際して、例の高坂麗奈チャンが上級生を差し置いた実力を見せたことで、ちょっとした、いわゆる《トゥシューズに画鋲》展開になるときも、過剰にドロドロさせない絶妙の匙加減になってる」

「たしかに、誰も悪くないんだよね。《トゥシューズに画鋲》を入れる側に相当する先輩キャラにも、ちゃんと事情があって、むしろそっち視点からみれば正当な主張にもとれる。……だいたい《女の人間関係には妬み嫉みが渦巻いててドロドロ(だけど男の世界にはソレはない)》という言説は、いわば男性ホモソーシャル構造を維持管理している体制側の工作員によるネガティブキャンペーンであって、真実とは異なるし」

「あと、顧問のイケメン先生は主人公らの入学と同時に新任で着任して、部活の指導のテコ入れをしていくわけだけど、そのあたりの位置づけも、昭和のスポ根モノとくらべると激しく今風。エースをねらえの宗方コーチのようには主人公らにガッツリとは絡まず、立ち入った関係性にはならないの。当然に恋愛が入り込んだ権力関係も生じなくて、「新しく就任した鬼コーチ」の立ち位置は、あくまでも主人公らの周縁にしかなく、物語の進行・各キャラの成長エピソードなどは、主人公ら自身が自ら進めていくというスタイル」

「いわば顧問のイケメン先生はキーパーソンではあるものの、登場「人物」というよりは、主人公たちをとりまく環境要因のひとつにすぎない位置付けになっている――。例えるならドキドキプリキュアにおけるジョー岡田ていどの存在意義って感じ(中の人ネタですね^^;)たしかに、わかる」

「……これが1992年生まれの原作者のセンスの若さなのね」

「原作の武田綾乃さんは1992年生まれということは、物心づいたころにはすでに『セーラームーン』があって、12歳のときに『プリキュア』がスタート。ちょうど思春期の最中に『けいおん』っていう計算になるよね」

「となると、物語に関する、いろんな感覚が新しくても、さもありなん」

「……ぅ~ん、だからボクとしてはもひとつ期待したいんだけどなぁ、川島緑輝チャン男の娘説!」

「え゛、男……の娘!?」

「だって、

*異様にあざとカワイイ
*反面ジェンダー的にちょっとズレたエキセントリックさも兼ね備えたキャラ
*名前の読みが緑輝と書いて「サファイア」とリボンの騎士を連想させる
*出身中学が私立の女子校なのになぜか内部進学せず公立高校に進学してきた
*第6話でも「人は変われる!」という趣旨を力説

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 ……あたりが非常にアヤシイと思わない?」

「そ、そうなの? あいかわらずミサキは、そういうの鋭いんだねー;」

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「他にも4話の《体育会吹奏楽部》のシーンでの走るのが遅い描写のところも、何か引っかかるものを感じさせる。

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5話の身体測定では、しれっと女子に混じってるので、素直に見ればコレで男の娘説は否定だけど、でもボクの勘はこの場面にも何か違和感をアピールするのだよ。例えば緑輝ちゃんだけが、なぜかジャージの下を履いてないとか。

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しかもこのシーンには緑輝ちゃんの胸ぺったんこを明示する機能もあって、よく見ると、このぺったんこ具合は胸が大きくないことを気にしている主人公・黄前久美子よりもさらにぺったんこ。まさにプリパラのレオナも驚くレベル

「プリパラって、最初に話したやつだよね」

「そうそう。あのボクっ娘・ドロシーの双子の《弟》レオナが、リアル2015年の日本語で言うところのいわゆる男の娘で、そのこと自体は何の問題もないこととしてアッサリ認められてる」

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「リアル2015年ってスゴイんだなぁ」

「プリパラのレオナも画期的だけど、あれだけだと点が線になった止まり。ここで響けユーフォニアムの川島緑輝ちゃんが男の娘!となったら線が面になる。現実にはまだまだ偏見もある中ではゼヒやるべき!!」

「……気持ちはわかるけど、原作を全部読むと、どうやら違うみたいだよ、《川島緑輝チャン男の娘説》」

「アニメオリジナルの設定でもよいので、さらっと入れてくれないものかねぇ……。もちろん話の本筋にはガッツリ絡めなくていいから」

「でも、その事実の発覚回の冒頭5分くらいで、理由は《こっちのほうが自然でありのままの自分だと思うから》くらいだけで、みんなとっとと納得して次の課題に移るといったプリパラ18話メソッドは、ちょっと人類には早すぎる描き方だから、なかなかハードル高いヨ」

「だいいちボクたちだって、そうはなっていないわけで(^^ゞ」

「まぁねー; でもちょっと残念。ソコがそうなっててこそ、真のリアル2015年クォリティだと思ったんだけど」

「そのあたりは今後の現実世界の課題でしょうかね」

「たしかに……」

「あっ、課題といえば……」

「そうだ。中間テストの復習問題、来週の三者懇談までに提出だったわね」

「ゲゲっ! そーゆーところって『響け!ユーフォニアム』が、もうゼンゼン他人事じゃないんだった
((;゚Д゚)))」

「……というわけで、それでは皆様」

「またいつか」

「お会いしましょう(^^)ノ」


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  ~  §全7巻§


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