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性別不詳ゆるキャラ増殖中! [メディア・家族・教育等とジェンダー]

さて、2012年度の夏休みの旅行に四国方面へ行った件は、お知らせブログのほうで述べたとおりですが、そのキモはやっぱり、まるでトヨタVOXYのコマーシャルのような「男旅」をするのが見た目お母さんと娘であってもいっこうにかまわないということですね。

まぁ、とかく世の中、あらゆる物事を「男か、さもなくば女か」という二択の性別で切り分けすぎなのです。
もう少し「性別」以外の指標を軸にしたモノの見方が一般的になってもいいと思うのですがねぇ…。


で、そんな四国西部への旅行だったのですが、今回は帰りがしまなみ海道ルートだったので、四国での最後の立ち寄りポイントが、愛媛県今治市とあいなったわけです。

そして、この今治市においては、ワタシが出発前から「ぜひ!」と思っていた存在がありました。

それはこの、今治市のゆるキャラ「バリィさん」!

 BL120831-Bariy01.jpg

※土産物屋などで配布されているバリィさんの「名刺」

 →詳しくは公式サイトで
http://www.barysan.net/


いかにもご当地ゆるキャラらしいキモ可愛いさで、独特の愛嬌がありますが、昨年おこなわれた「ゆるキャラグランプリ2011」では、1位に輝いた熊本の「くまモン」と接戦の末の2位という評価をも獲得した侮れない実力の持ち主でもあるのです。

今治で焼き鳥が盛んなことによる鳥モチーフをベースに、頭の王冠は来島海峡大橋を象り、腹巻は地場産品の今治タオル、そして特注という設定の携帯している財布はやはり今治の主力産業の造船にちなんだ船の形という、地元のPRにソツがない点でも、完成度が高いキャラと言えるでしょう。

しかし、このバリィさんの真骨頂は、じつは(このブログ的には)もっと別のポイントにありました。

そうです。
なんとこのバリィさん、公式設定で【性別不詳】なのです!

 BL120831-Bariy02.JPG

※公式サイト・プロフィールページからキャプチャ
http://www.barysan.net/profile/index.html


これは設定ががんばったと言うべきでしょう。

とにもかくにもあらゆる事物に「性別」を付与しがちな社会風潮の中では、あろうことか無生物モチーフのキャラクターでさえ女の子か男の子かを決められてしまうことが多いのが実状です。

◎参考例:「考察・崖の上のポニョはなぜ女の子なのか!?

そんな中で、このバリィさんみたいにモチーフはいちおうはしっかりと性別がある鳥類が元であり、しかもキャラとして相応に「女性的」に可愛らしい反面、腹巻きなんていうビジュアルが随分とオッサン臭いにもかかわらず、それでも堂々と「性別不明」を名乗っているのは、評価しないではいられません!

すごいぞ、バリィさん!
がんばれ、バリィさん!
世界はキミを待っている!!

なによりこうした性別不詳ゆるキャラが活躍することによって、「あっ、そうか、べつに『性別がない!でもイイんだ」と思ってくれる人が増えれば、それは非常に画期的なのではないかと思います。


………と思って、あらためて調べてみたのですが、どうも昨今は、バリィさんよろしく性別不詳を謳うキャラクターが増えているようです。

今年度の「ゆるキャラグランプリ 2012」にエントリーしているゆるキャラたちを見た限りでも、大阪は箕面の「ゆずる」――昨年度9位――がどう見ても侍っぽいのに性別は明らかにはされていません。

同じく大阪の高槻から現れた「はにたん」もしかり。
しっかりと公式サイトに「性別は不明です」と明記されているのは、バリィさんと同様ですね。

この他、【ゆるキャラ 性別不詳】で検索をかけてみると、なかなか興味深い結果が多数並んだりします。

一説には、かようにゆるキャラの性別の不詳・不明扱いが増えているのは、ひとつには人間界の性別観念があまりにも男女二元的で異性愛主義であることの裏返しとも言える理由があるらしいです。
つまり性別設定があると、人々が内面化している女らしさや男らしさの通念に適った言動を強いられることとなり、キャラとして動かすうえでの制約が生じるというわけです。
そこで、それならいっそ「どっちでもOK」にしてしまえ!……というわけですね。

あるいは、かつて「男女のペア」で設計された関西空港のマスコットキャラクターの一方であったにもかかわらず、男女差別だというクレームに対して妙な対応処理がなされた結果、今ではすっかり黒歴史化されてしまった「クーコちゃん」の事例を他山の石とした結果なのではとも考えられなくはありません。

 →「嗚呼!夫婦岩

実際、今日ではwebを探しても【クーコちゃん】の痕跡はほとんど残っておらず、あたかも関西空港のマスコットキャラクターははじめから「カンくん」しかいなかったかのごとき印象となっています。
ゆるキャラに対して迂闊に人間界の性別観念に適った性別を付与することは、こうした悲劇を生むリスクと隣り合わせでもあるわけです。

そういう裏事情の存在も視野に入れるなら、決して手放しで喜べないことかもしれません。

しかしそれでもやはり「性別不詳」がフツーによくあることとして一般化していくことは、世のありように一石を投じていくこととなり、意義深いことではないかとワタシは思います。

人間がすべからく女か男のいずれかであり、恋愛や生殖がその男女間でおこなうものであると措定したがゆえの両者が一対であるかのような扱いが、多くの人を抑圧しているという事実は、まさに人権問題の根幹としてもっともっと広く知られてしかるべきことではないでしょうか。


そういう意味では、やっぱそろそろ減価償却も済んだ頃合いだし、早期に引退してほしい(広い意味での)ゆるキャラといえばこの子たち……

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……そう、法務省のあの人権啓発キャラクター「人KENまもる君・人KENあゆみちゃん」ですねー(^_^;)

後任にはゼヒ性別不詳キャラ、さもなくば逆にもっと人数を増やした「人権戦隊」をお願いしたいところです。

 

そんなこんなで、今般の四国旅行、今治ではたんまりとバリィさんグッズをお土産に買い込んで帰宅することとなりました。

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饅頭のほか、マスコットやステーショナリー類などあります。
今治タオル製のバリィさんハンドタオルなども買えばよかったかな(^o^;)ノ