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名状しがたい性の多様性のようなもの [メディア・家族・教育等とジェンダー]

深夜アニメは画期的な特筆事項に満ちた掘り出し物も多いですが、もっぱらとりあえず気軽に見て楽しい作品も当然少なくありません。

這いよれ!ニャル子さん』は、どちらかというとその後者としてのテイストが大な番組のはずでした。

簡単に説明すると、学園ドタバタコメディに宇宙SFファンタジー的要素を盛り込んだ、いわば【いまどきの『うる星やつら』】のようなものってところでしょうか。

ただ、平凡な男子高校生の日常が突如宇宙からやって来た女の子によって非日常になってしまうアニメ…という共通項でくくったとき、『這いよれ!ニャル子さん』のどのへんが「いまどき」かと言うと、やはり『うる星やつら』での諸星あたるポジションの主人公・八坂真尋が、いわゆる【草食系男子】なところかもしれません。

もしかして、諸星あたる的な「肉食」っぷりは、例えば今の若者には尾崎豊が理解できないと言われているのと同様に、(たとえ異性愛の男子であっても)共感できるようなスタンスではないのかもしれません。

あと、ニャル子さんによって守られる存在というところに既成のジェンダー秩序に対するズラしもありますし、なぜか声は女性声優さんがアテていますしね。
(『うる星やつら』ではしばしばあたるに電撃攻撃を加えていたのはラムのほうなのに、こちらでは真尋がニャル子をフォークで刺すのがソレに相当する点も、ジェンダー面での逆転と言えるでしょう)

何よりこの主人公・八坂真尋のプロフィールが画面に示されるところで、ちゃんと「彼女なし 彼氏なし」と恋人の有無に関して両方併記されてたところは、さりげなくスゴイことでした。

 BL120506-MahiroBoth.JPG
画像はオンエア録画の表示画面をカメラで撮影
 
「宇宙には個人情報保護法はないのかーっ!?」

この『ニャル子さん』の世界では、同性愛も異性愛と対等のフツーのことという前提が浸透していて、クー子がニャル子にベタ惚れ、ハス太が真尋に一目惚れってのも、決して二次創作の同人誌のネタでもなんでもなくて公式な設定ですし、これらが性他認上で同性間であること自体はいっさいギャグになっていません。

視聴者も「男女の」「異性愛」を前提としていては、劇中のフクザツな三角関係的人間模様が逆に理解できなくなってしまうという、そういう仕様の作品になっているわけです。


やはり深夜アニメには、ジェンダー(あるいはセクシュアリティ)センシティブな視点で見たとき、旧来の批判が色褪せて見えるほどカッ飛んだ掘り出し物作品があるので侮れないですね。

はたして深夜アニメは既成のジェンダー秩序(およびセクシュアリティ秩序)をどこまで撹乱できうるのか!?

少なくとも、こうしたつくりの物語群を見慣れてくると、逆に、いつまでも【「男女」の異性愛物語】を平然と流し続けているゴールデンタイムのドラマのほうが、むしろ幼稚な「お子様向け」に思えてくるからオモシロイものです。


   


◎その他ツイッターにてニャル子さん関連ちらほらと…
http://twitter.com/#!/tomorine3908tw/status/192242511996133376
とか
http://twitter.com/#!/tomorine3908tw/status/197660705858650112
とか
(特に「そもそもトランスジェンダー・セクシュアルマイノリティは、『性別は男と女っ!』と思い込んでいる人々にとっては、いわば【這いよる混沌】」…は真理だ(^^)v)
ツイログも検索してみてください

 

◎そういえば『モーレツ宇宙海賊』でも、17~18話では劇中で(視聴者による百合解釈ではない)正式な同性愛カップルがストーリー上の重要な位置付けで描かれましたが、やはりその2人が女どうしである点には、誰も何も言わずに終わりました。
(ただ、そのうちの1人は元々ボーイッシュなキャラで、しかも当該回ではたまたま話の流れで男装風のコスプレをしていたのは、ある種の「演出上の配慮」だったかもしれません)

 

ゴールデンタイムのドラマも、このところフジテレビ系の「恋愛の月9」が、『ラッキーセブン』とか『鍵のかかった部屋』などと、それぞれ探偵モノ、推理モノで、「恋愛」は後景に退いているので、何らかの地殻変動が起きていると見ることも可能かもしれません。


 


スマイルプリキュアのどこがおもしろいのか説明できない [メディア・家族・教育等とジェンダー]

今年度のプリキュアシリーズ『スマイルプリキュア』なのですが、これは端的に言ってオモシロイです。

 BL120505-01SmlPcure.JPG

 →東映アニメーション公式サイトスマイルプリキュア
  (引用画像はこの公式サイトよりキャプチャ)


各々のキャラが立っていて、ストーリーが勢いよく回っていて、明るく楽しく、日曜日の朝に元気をもらえるアニメに仕上がっています。

放映が始まって久しいのに、前記事の『聖闘士星矢Ω』との関連で触れるようなパターン以外では、今日までメインで記事にする機会がなかったことについては、それだけ急いで指摘せねばならないような問題点もなかったということでよいでしょう。

ブログ記事はどうしてもワンクッション置いてから書くということもあるので、時期によってはたしかに延び延びになることもあります。
その点ツイッターは相対的にフットワークが軽いシステムなので、例えばプリキュアについてもオンエア当日に感想を述べてたりすることはあります。
  →佐倉智美ツイッター
  →「ツイログ」ではキーワードで絞り込んだりもできます


ただ、逆に何か評価すべき特筆事項はとなると、このブログ的には「『聖闘士星矢Ω』とパラレル」みたいな話を除いて、作品に内在する特徴で探したとき、なかなか論理的なポイントは見つからないのも事実です。

例えば、
『ハートキャッチプリキュア』の、ひとりひとり自分自身の「心」を大切に育み、自分で自分を好きになろう――というメッセージを打ち出し、ありのままの自分が否定される不幸というものをわかりやすく描いていた点。
特に、キュアサンシャインに変身する「いつき」の「ありのままの自分」を阻害する要素としてジェンダーの問題が取り上げられ、男らしくとか女らしくとかよりも、せいいっぱい生きているありのままの自分が尊いんだと、子どもにもわかりやすく伝えていた点。
あるいは、
『フレッシュプリキュア』でも、超管理社会を敵陣営に据えることで全てを管理される不幸に比べれば悩み傷つきながらも自分で考えて選んでいくことが幸せをゲットする道なんだというメッセージとともに、敵幹部の改心展開を通じたさまざまな深みのある人間ドラマが秀逸だったこと――。

…そういったものを『スマイルプリキュア』に探したとき、現時点では「うーん、何かなぁ??」といった感じなのです。

いちおうは作品の軸として据えられているとおぼしき「バッドエンド/ハッピーエンド」という部分についても、いまひとつ練り込みが不足している印象で、何がバッドエンドでどういうハッピーエンドがハッピーなのかについて、この先キチンと掘り下げて描かれていくのか、一抹の不安は残ったままです。

しかし、それにもかかわらず、オモシロイと感じられ、視聴後はなんとなくハッピーな気分になれていて、来週もまた見たいと思わされるというのは、逆にそれだけの傑作ということでもあるかもしれません。

要はエンターテイメントですから、理屈よりも感性に訴えるものが重要な場合だってあっていいわけです。

だいいち『ハートキャッチ』や『フレッシュ』においてこそ、上述のような高度な評価ポイントが盛り込まれるようになっていましたが、それ以前のプリキュアシリーズでは、まずは例えば「女の子どうしで友情を育みながら戦いの課題に対峙していく」というところが、もうすでにじゅうぶんに評価対象でした。

『スマイルプリキュア』の場合、どちらかというといわゆる「日常系アニメ」のフォーマットを上手に動かす中にプリキュア的プロットも含めるような構成を試みているように読み取れるところもあり、それはそれで意欲的な挑戦とも言えます。

総合的にとらえて、現時点では『スマイルプリキュア』は日曜朝のアニメとして高く評価してよいのではないでしょうか。

 

そして、「高度な評価ポイントについては特記事項がないが、でもオモシロイからOKな『スマイルプリキュア』」の存在をふまえて、今一度ふりかえると、やはり前シリーズ『スイートプリキュア』が突出して異様な番組だったことが痛感されます。

あの見るたびに覚えた違和感は、いったい何だったのでしょう!?

「高度な評価ポイント」的な観点からの問題点は、たしかに以前の記事「番組自体が不幸のメロディ」や「海原雄山じゃなくても怒るレベル」でもまとめたとおりです。

しかし、そういうものがなくても「視聴者において素直に楽しめる日常系アニメ」は作れるのだとしたら、もうひとつ【スイートプリキュアが気持ち悪かった理由】の核心があるはずです。

それははてさて何なのか?

……そう考えたときに、ふと思い至ったのが、世間での『スイートプリキュア』に対する一般的な評価が『機動戦士ガンダムAGE』の不評と重なる点です。

以前の記事でも書きましたが、それは、制作陣に畑違いの人を連れてきて重要ポストに就けたことが奏効していないとか、シリーズのテンプレートに縛られる中で独自性を出せていないとか、いや逆に伝統あるブランドに胡座をかきすぎたのではとか、ともかく話の流れが不自然、キャラが描けてない、舞台設定に無理が感じられる……といったことです。

ただ、ソレも含めて『機動戦士ガンダムAGE』の最大最悪の問題点はといえば「女性キャラの人格や主体性の描写があまりにもなってない」というところなのではないかというのが私の見立てでした。

詳しくはこれもすでに先日の記事「女性の扱いが酷い機動戦士ガンダムAGEが強いられてるもの」でまとめたとおりですが、これを、スイプリとガンダムAGEには共通点があるということで、ガンダム側からスイートプリキュアに当てはめてみたらどうなるでしょうか??

もしかして、


スイートプリキュアは

「女性が描けてなかった」!?


……………………。

いやいや、まさか、仮にもいわゆる「女の子アニメ」の看板作品となっているプリキュアシリーズにおいて、女の子の人格や主体性が描写ができていないなんて、そんなまるで怪獣映画に怪獣が出てこないみたいなことがあるわけな―――


しかし、あらためてソノ視点で見なおしてみると、結果じつに辻褄が合っちゃうんですねー、コレが!

つまり制作側が「女の子」というものを、いわゆる男性目線におけるミソジニー・女性嫌悪をともなった類型的な捉え方しかできていなかった。

だから初期のつまらない理由でのケンカばっかりでギスギスドロドロした人間関係描写も、女というものはこんなふうに醜い内面の生き物なのが真相さ……という制作側のステレオタイプの発露。

仮にも「しあわせのメロディ」の歌姫を決めるオーディションなのに、まるでライバルのトウシューズに画鋲を入れるかのごとき大昔の少女マンガにしか則っていない妬み嫉み僻み恨み展開になってしまうのは、女の子社会の多面性に理解が及んでいないから。

主人公たちをテンプレに沿って表層的にしか動かすことができず、内面の葛藤やそのプロセスを経た成長を描けなかったのも、女性を一人前の人間と認めていない証拠。

あまつさえ主人公・北条響を入学して1年以上も学校に門が2ヶ所あることに気づきもできない不自然な認識力の持ち主に描いて平気なことなどは、女性の論理的な思考能力というものを過小評価しているから。

………とまぁ、ものすごくうまく説明がついちゃいます。

おそらく制作側の根本の部分に「人間としての女性が嫌い」というような無意識があったのではないでしょうか?

あのえもいわれぬ作品としての気持ち悪さの原因がそういうことだったのだとすれば、これは由々しき問題です。
今や世間的には「女の子に安心して見せられるアニメ」の代表格に育ったプリキュアブランドの一角を占める番組がそんなていたらくでは困ります。

その意味では、やはり『スイートプリキュア』は、2011年、あの事故を起こした発電所に次いで、目には見えない忍び寄る毒を日本中に撒き散らしたと言っても過言ではなくなります。


逆に言えば、女児視聴者を念頭に「女の子アニメ」を標榜するのであれば、

 §女性という存在への人間的尊重
 §女の子社会の豊かな可能性への信頼
 §作中の女の子たちへの愛情に裏打ちされた視線

といったものが制作側のコンセンサスとしてベースにあることが必要なのではないでしょうか。

そうであればこそ、女子視聴者をエンパワーし、世の中のジェンダー構造の不条理に負けないスピリットを学べるような内容を紡いでほしいという社会の負託にも応えることができるようになるはずです。


そして、じつはこれらのものがしっかりと担保されているがゆえに、『スマイルプリキュア』のほうは安心して見ていられる番組になっているのかもしれませんし、たとえ表面上は難しいテーマに切り込むことが避けられているようであっても、何かが期待できるアニメ作品と思うことができる結果につながっているのではないでしょうか。

 

  

※明快でノリのいい主題歌は↑プリキュア史上最高の出来栄え
  (個人の感想です(^^))

 

前記事でネタにした「7月に登場するスマイルプリキュアの追加戦士」ですが、本当のところはどうなのでしょう?
すでに5人編成なのをさらに増やすと収拾がつかない危険性が想像できる一方、あと2人出てくる予想にも相応の論理的根拠があります。
何より「土属性」と「闇属性」のプリキュアを配置しておかないと『聖闘士星矢Ω』とのコラボ映画で困ります(^o^;)違
…てなわけで、ほんのネタですが、追加戦士2人加えて7属性揃えたうえで、現行メンバーの下の名前の漢字(公式には幼児に親しみやすいように?ひらがな表記)も考えてみました(^^)v

 キュアハッピー/星空みゆき→満幸輝 …光属性
  キュアサニー/日野あかね→明燃 …炎属性
  キュアピース/黄瀬やよい→和与雷 …雷属性
  キュアマーチ/緑川 なお→直扇 …風属性
キュアビューティ/青木れいか→麗洌 …水(と氷)属性

 キュアサークル/珠山 地花(ちか)…土属性
 キュアシェイド/安田 憩集(いこい)…闇属性

 

来年度のプリキュア予想というと気が早いかもしれませんが、シリーズが続くとすれば、いつかは星座モチーフのプリキュアもあっておかしくはないはずです。
ただ今期はそれこそ聖闘士星矢Ω(と仮面ライダーフォーゼ)とカブるので避けられた!?(主人公の名前「星空」ってのが企画初期には星座プリキュアが検討されてた名残りとか??)
あと宇宙ブームということで行くと、そろそろ妖精の不思議な力で伝説の戦士に変身するばかりではなく、もう少し科学寄りのプリキュアもあってよいかもしれません。
 超常的パワーの源は古代文明のオーパーツ
 そこに現代の科学技術を付加して作られた強化ギアを装着して戦う
 オーパーツの仕様で装着者は女の子限定
 指揮管理するのは政府機関
 学校の地下に秘密基地
……とかどうでしょう?
あっ
ソレってアレか!
『戦姫絶唱シンフォギア』(^o^;)
よくよく考えると、『戦姫絶唱シンフォギア』は女の子の友情物語をはじめプリキュアシリーズに期待される要素はしっかり網羅されていますし、音楽モチーフだし、響と奏も出てくるし、敵はノイズだし、いわば清く正しいスイプリのリメイクですナw
我が娘・満咲まで「……………………こっちのほうが本当のスイプリならよかったのに」とか言ってますし。
どうしてこうなった!?


 


新世代の聖闘士星矢はじまる! [メディア・家族・教育等とジェンダー]

往年の人気アニメ『聖闘士星矢』といえば1980年代後半に大きなムーヴメントとなった作品ですが、なんと今年2012年4月から、その新シリーズ、題して『聖闘士星矢Ω』が始まり、日曜日の朝6時30分から毎週放送されています。

「Ω」はギリシャ文字の「オメガ」です。
続編を表す記号ということなら例えば「#」でも「ドッカ~ン!」でも「ナ・イ・ショ」でもよさそうなものですが(^^;)、元々がギリシャ神話をフィーチャーした物語ゆえのギリシャ文字ということなのでしょう。

前シリーズについては、前記事でも少し触れたとおり、当時親しくしていた女性が『聖闘士星矢』を愛好しており、特に好きなキャラクターが主要登場人物の中でも最も女性的な少年・アンドロメダ瞬だということで、私も後にアニメや原作コミックにハマっていく際には、特にこのアンドロメダ瞬に感情移入しがちだったのですが、その理由はむしろ私自身の性別認識にあったのだということは、今ならわかります。


そんな新シリーズ『聖闘士星矢Ω』、放送開始の直前の3月下旬、はてさてどんな作品なのかと、公式サイトに情報を仕入れにアクセスしてみました。

 →東映アニメーション公式サイト聖闘士星矢Ω
  (引用画像はこの公式サイトよりキャプチャ)

 BL120504-01seiya.JPG

ふむふむ。なるほど。

原作にはないオリジナルストーリーで、主要登場人物も一新。
原作の主人公らの子世代にあたる若者たちが新たに聖闘士となって悪と戦うという設定ですか…。
なかなかイイじゃないですか。

それに世代交代は作中のキャラの世界のみならず、東映アニメーションの制作スタッフレベルでもいわば子世代に引き継がれたようなものですから、アニメ制作の技術革新ともあいまって、絵柄的にも21世紀の作品っぽいスタイリッシュなものに洗練された雰囲気です。

これはなかなかオモシロそう…!

同時に私は思いました。

これって…


ちがいがあるのか!?

 

……プリキュアと


元々1980年代の『聖闘士星矢』が終了した後しばらくして同じ放送枠で始まったのが『セーラームーン』、そしてそのエートスを東映内で発展的に継承したのがプリキュアシリーズと言えます。
そういう「遺伝子レベル」でも、アニメのジャンル(主人公らが等身大の装着系変身でパワーアップして敵と格闘系の戦いをするというのが基本フォーマット)的にも、じつは結構近い位置に両者はあるはずです。

いやいや、両者は片や男の子アニメ、他方は女の子アニメ、ぜんぜん違う!
という意見もあるかもしれませんが、むしろそんなふうに思い込んでいる人が多いが故に、子どもたちが番組を視聴する周辺環境のほうが異なってしまい、結果としてそれが男の子アニメと女の子アニメの差異を構築しているという側面は見過ごしてはなりません。

実際、動画サイトなどを検索すると、聖闘士星矢の主題歌に乗せてプリキュアシリーズの画像を編集したMAD動画は少なからず見つかります。

両者を構成する諸要素が、相当に互換可能というのは、つまるところ2作品間に本質的な隔絶はないということの証左でもあるでしょう。

オマケに制作スタッフをよく見ると「キャラクターデザイン・総作画監督:馬越嘉彦」。
……ってったらプリキュアシリーズにもかかわられたことがある方ではないですか!
少なくともビジュアル的には、かなりの類似性が見られることになると言ってよいでしょう。


そう思って、さらに公式サイトのキャラ紹介のページを開いてみました。

そこには絵柄的に「性別不明」キャラも少なくない中、ズバリ女性キャラとして主要登場人物の一角を占めると思わしき女聖闘士「ユナ」も紹介されています。

旧シリーズでは歌舞伎の女形よろしく、実質的には女性戦士ポジションであったアンドロメダ瞬も戸籍上は男性というかたちでしたが、今回は時代も進んだことで、メインメンバーに正式に女性を入れるということなのでしょう。

………ただ、だとするとますますプリキュアとのビジュアル面での相似が気になります。

私はおそるおそる「ユナ」の詳細ページをクリックしました。
すると……


 BL120504-02seiya_YUNA.JPG


だぁーーーっ!

まるっきり
プリキュアじゃん
やっぱり(^o^;)

いや、これはマジじゅうぶんに、この画像を見せながら「これ7月に追加登場する6人目の『スマイルプリキュア』のネタバレ流出情報!」とか言って誰かを担げるレベルです。

参考までに『聖闘士星矢Ω』の2時間後に放送される番組となる『スマイルプリキュア』の同様の公式サイトキャラ紹介ページから、この聖闘士ユナと「風のパワーの戦士」ということで共通項があるキュアマーチを比較対照してみましょう。

 BL120504-03CureMarch.JPG

……………………。

やはりせいぜい「同じプリキュアシリーズ内の後番組」程度の差異しかありませんねー(^^)v

 →東映アニメーション公式サイトスマイルプリキュア
  (やはり引用画像はこの公式サイトよりキャプチャ)


というわけで、はたしてこの2作品は番組としてネタカブりにならないのか?
…と、部外者ながら心配になると同時に、この2作品が同時期(それも同じ曜日の近接した時間帯)にオンエアされることで、男の子アニメと女の子アニメの間の垣根が、また一段低くなるという成果が得られていくことが、ひそかに期待されるところとなりました。

また、ここまで大枠でのフォーマットを揃えてもらえると、細かなディティールの部分での差異――つまり子どもたちが視聴する周辺環境の差に寄って社会的に構築されている男女差の部分――が比較・分析しやすいという、研究上のメリットも大きいかもしれません。

そして、そのことに資するつくりにならばこそ、『聖闘士星矢Ω』が新世代の聖闘士物語として今日の視聴者に受け継がれていくに足る意義のあるものになるのではないでしょうか。


  


さて、そんなことを考えながら、先の女聖闘士「ユナ」の紹介ページを見ていて、ふと私は気づきました。

「あれっ?」

そうなのです。


……仮面をつけてない!

 

じつのところ、アニメ『聖闘士星矢』の旧シリーズや、その元となった車田正美による原作コミックは、やはり20年以上前という時代的な仕様なのでしょうか、けっこう男性中心主義的というか、男性ホモソーシャルな論理に基づく女性の排除がおこなわれているというか、要するにお話としては女性キャラをもっぱら補助的な位置づけにしか置いていなかったのも事実なのです。

それを物語の設定上で支えていたのが、聖闘士になれるのは男性のみで、どうしても女性が聖闘士になるときには「女を捨てる」ために仮面をつけなければならない……というような「掟」だったのです。

はたして、仮面の掟はどうなってしまったのでしょうか?

もしかして1999年には男女共同参画社会基本法もできたことですし、聖闘士の世界でも仮面の掟が撤廃されたなんてことがあったのでしょうか??

ひとしきり考えをめぐらせましたが、やはりこの点が、つまり新シリーズにおける女聖闘士「ユナ」の仮面問題を、どのように掘り下げて描いてくるのかが、まさに『Ω』が新時代の作品として相応しいか否かの試金石となるのではないかと思われました。

しこうして、この女聖闘士「ユナ」登場編である『聖闘士星矢Ω』第3話は注目されるところとなったのです。

§ggさんのコメント(ありがとうございました!)にあるように、この仮面の掟については掘り下げていくと、男性社会やそれと表裏一体の女性への抑圧の構造といろいろつながっているものが見えてきます。
もっとも、こっちから批判するにせよ、向こうがそれに応えるにせよ、聖闘士星矢のアニメ内ではたしかに扱いきれなさそうですねーw。
ただ、東映としては、やはりプリキュア時代の聖闘士星矢を制作するにあたっては、仮面の掟は「なかったこと」にしたかったものの、かと言って旧作&原作ファンに対する一定の説明は必要ということで、その落としどころとして描かれたのが、あの(↓)第3話だったのではないでしょうか。
(2012/05/08)


『聖闘士星矢Ω』第3話がはじまってみると、たしかに当初のユナは仮面をつけた状態で登場します。
やはり仮面の掟はいまだにあるようです。

しかしユナ本人はそれに納得しきれず、複雑な思いを抱えている描写です。

そして聖闘士仲間の中でもちょっとイジワル系のキャラ(←お話的にはメインメンバーになれないモブキャラポジション)からは、「女のくせに」とか「女は仮面つけて黙ってろ」みたいな女性蔑視発言も再三投げかけられています。

そうしてついに怒り心頭に発したユナは……… とまぁあまり詳しくあらすじを紹介すると面倒くさいのでネタバレになるので省略しますが、要するにユナ本人が葛藤の末に自分の気持ちに真っ直ぐ向きあって仮面の掟を拒む決意をし、周囲もソレを好意的に認めるに至るのです。

しかもその過程をウジウジグダグタ何週も引っ張らず、第3話の中だけでスッキリ上手くまとめてあり、きっかけを作ったイジワル系キャラも、最後は素直に「負けたゼ」とばかりにユナに一目置く側にとっとと回るのです。


……ぃやーヨカッタです。
かくして仮面ナシ女聖闘士が正式に誕生したわけですが、見てて気持ちのよい展開でしたね。
まさに新時代の聖闘士星矢はこうでなくては! というふうにできていました。
この第3話ならば、今後も期待できると言ってよいと思われました。

なにせ『セーラームーン』さえまだだった旧シリーズとちがって、今般は2時間後にはプリキュアが控えています。
そこでは女の子たちがこともなげに変身して伝説の戦士となり悪と戦っているのです。

なのに片やこっち側の世界では女戦士には面倒な制約の設定があるなんて、そりゃぁ視聴者に受け入れられない時代だということを、東映もよくわかってたということかもしれません。

女は聖闘士に原則なれないなんて設定が幅を利かせていると、プリキュアに飽き足らない女児を視聴者として取り込むうえでの妨げにもなるからマヅいという、営業上の理由も大きいでしょうしね。

プラス、せっかくの美少女キャラが仮面で顔を隠してるなんて誰得ってのもあるでしょう(^^)


というわけで『聖闘士星矢Ω』と『スマイルプリキュア』、日曜朝の2大装着変身系格闘アニメとして、しばらくの間お互いに研鑽しあって視聴者を楽しませてくれるところとなってほしいものです。

……できれば秋あたりにコラボ映画を希望 (^o^)丿

 

◎『スマイルプリキュア』は初期メンバー5人編成で、5人各々の特徴付けとして、炎のパワーとか風のパワーとかの属性設定が付与されているのですが、どうしたことか『聖闘士星矢Ω』でも各聖闘士たちの小宇宙のパワーに旧シリーズにも原作コミックにもない属性設定が導入され、なんかモノの見事に1対1対応しちゃうのですヨ^^;

キュアハッピー/光/ペガサス光牙
キュアサニー/炎/ライオネット蒼摩
キュアピース/雷/オリオン エデン
キュアマーチ/風/アクィラ ユナ
キュアビューティ/水/ドラゴン龍峰
(追加戦士?)/土/ウルフ栄斗
(追加戦士?)/闇/(敵限定??)

やっぱ東映がコラボ映画を企んでる!?

 

◎『聖闘士星矢Ω』で女聖闘士も仮面ナシOKになったのに対して、プリキュアシリーズではいまだに男の子がプリキュアになることはできていないので、その点にクレームをつける向きもあるやもしれませんが、この点はいわゆる男女共同参画におけるアファーマティブ・アクションということで正当だと言えます。
つまり、男性キャラが主人公の直近の対等な立場に配置されるとどうしても現実世界のジェンダー秩序の影響を受けるし、下手な恋愛ボケ展開にも陥る危険がある中では、ジェンダー規範に邪魔されずに個々の女性キャラを生き生きと動かせるためには「女の子ばかり」という設定が必要悪とならざるをえないのです。
ただ、前例に鑑みるとプリキュアに変身するのがいわゆる「男装の麗人だったことはありますし、おそらくそう遠くない将来「男の娘が変身」という事例なら登場するのではないでしょうか。
言ってみれば…

女の子は誰でもプリキュアになれる!」
  ↓
「せめて男の娘も可…になりませんか?」
  ↓
「とりあえず男の子優先プリキュアつくりました(=聖闘士Ω)」
  ↓ ←イマココ
  ↓ ↓もうすぐ??
「性別、どうでもよくなりましたっ!!!」

…てな感じ

 

◎プリキュア×聖闘士星矢のMAD動画としては2012年5月現在……

力作です(^^)
探せば他に『プリキュア5』や劇場版バージョンなどもあるはず


 


あなたのとなりにグレーゾーン! [多様なセクシュアリティ]

声優・三ツ矢雄二の人気が再燃しているようです。

我が娘・満咲もスマイルプリキュアのエンディングのクレジットで[ ジョーカー/三ツ矢雄二 ]とあるのを見て、「あっ、グレーゾーンの人やデ!」とのたまうくらいです。

…あぁ、今の若い世代にとっては、つまりそういう認識なんですねぇ(^^)

まぁ三ツ矢雄二の性的クィアネスについては昔から言われてなくはなかったですから、今般ソレが「公然の秘密」~「周知の事実」あたりにまでなってきて、またそのことがフツーに認められて受け入れられる時代になったということなのでしょう。


思えば、かつてワタシが小学生だったとき、『超電磁ロボ コンバトラーV』の第1話で葵豹馬の最初のセリフを聞いた瞬間、その何やら当時のロボットアニメの主役声優の代表格・神谷明などとは明らかにテイストの異なる声に、「ぅわっ、この人、オカマやっ」という感想を抱いたものです。

そして、それからしばらくの間というもの、『コンバトラーV』は何か見るのに抵抗があって避けていました。
きっと自分の心の中の何かに触れられるのが怖かったんだと思います。
(その後、気を取り直して視聴を再開し、合体セットのオモチャも実際には予算等々の事情で入手が叶わなかったものの内心は欲しかったりしました。きっと無意識の中では近所の女の子たちとコンバトラーV合体遊びがしたかったんだと思います。
 ハイ↑一般的社会通念に照らすとかなり何重にも捻れた願望ですねw
なお、『コンバトラーV』の人気ヒロイン・南原ちずるにも心惹かれるものがあったのですが、その心情は当時の他の男子とはちがって、やはり無意識の中では「同じ女の子」として活躍する作中のキャラクターに感情移入していたようなところがあったかもしれません)

数年後には『六神合体ゴッドマーズ』が始まり、そこでの敵方の人気キャラ・マーグの声もまた三ツ矢雄二が演じていたわけですが、そのマーグもまた、繊細な雰囲気の女性的な男性だったので、私としては、ややフクザツな心境で『ゴッドマーズ』を視聴していたものです。

で、その『六神合体ゴッドマーズ』がちょうど人気となっていた私の高校生時代なのですが、なんと当時片思いながら仲良くしていた女の子が、好きな声優:三ツ矢雄二、好きなアニメキャラ:マーグ だったりしたものですから、私の心情の複雑度にも拍車がかかったわけですね。
 (拙著『女子高生になれなかった少年』参照)

まぁ、その女の子は、当時の私に『ストップ!! ひばりくん!』のコミックスを貸してくれたり、さらには放課後に雑誌『JUNE』を読んでたりしたわけなので、いゃ。これって今にして思うと、はてさていったいどういうことなのでしょう!?(^o^;)

三ツ矢雄二からは離れますが、私の大学時代にちょっとだけ付き合った女の子は、当時人気だったアニメ『聖闘士星矢』で最も好きな聖闘士として、メインメンバーの中ではいちばん女性的で、いわば男性キャラながら女性戦士ポジションであるアンドロメダ瞬を挙げていました。
(こちらの声優は堀川亮[現:堀川りょう]で、同作品では三ツ矢雄二は黄金聖闘士の乙女座のシャカの声をあてていましたね)
これも、こうして振り返ると、上述の高校時代に起きた現象のリフレインと読み取ることが可能です。
いゃはや、要するにワタシのクィア度が高いということなんですけどネ(^^ゞ
 (大学時代編も拙著『女子高生になれなかった少年』参照)


話を戻して、そんなわけで昨今の三ツ矢雄二人気には、私としてもいろいろ感慨があるということなのですが、思えば【グレーゾーン】という言い回しはなかなかナイスです。

「男か、さもなくば女か」にしても、何にしても、物事はそんなに白か黒かでスッパリ割り切れるものではない……とは、ミスターチルドレンも4年前に歌ってます。

境界線のあっちでもそっちでもないところがグレーゾーンとして尊重されないとしたら、それはやはり窮屈な世の中なのではないでしょうか。

 

  


 


佐倉満咲、中学校に入学する [今週の佐倉満咲]

さて去る3月に無事に小学校を卒業した我が娘・佐倉満咲(なぜか順番が前後した修学旅行編の記事のほうが人気ですが)ですが、必然的にその後4月には中学校へ入学の運びとなりました。


入学式をめぐるあれこれについては、小学校の卒業式に比して特段の追加言及事項はありません。

お父さんが女の人みたい」なことは、もはやどうしようもないことですから、新しい環境になっても私も自然体で行くしかないです。

幸か不幸かPTAの学級委員を決める厳正なる抽選にも(^^;)ハズレました。

そうして、娘の新しい出会いとそこからはじまる物語に思いを致しながら、あらためて配布された入学式の式次第に掲載されている新入生一覧を眺めます。

この印刷物はクラス分けの発表も兼ねていて、新入生全員の名前が記載されているのですが、それを見ているといろいろ発見はあります。

基本的に今どきの子どもたちですから、なかなか凝った名前も珍しくはないのですが、この今年の中学新1年生やあるいは小学新6年生ってのはちょうど生まれたのが1999年から世紀を越えた2001年あたりなので、名前を考えた親のほうもすっかり頭がミレニアムになっちゃってて、なんかむやみに壮大なDQNネームの一歩手前という危険とけっこう隣り合わせなんですねー。
満咲の新しい学友たちにしても、オマエらどこのアニメキャラだよ!?
 …というようなお名前が少なからず散見されます。
(もちろん同じ小学校からの進学組や、小学校は別れてしまっていた保育園時代の元同級生も複数見受けられました)

で、やっぱり親の方針というのが如実に反映するのか、いかにも男らしい/女らしい名前の子がいる一方で、なかなかそういう性別の観念を越えたような中性的な名前の子もいたりします。

ちなみに満咲と特に親しくなるお友達というのが、名前に関しては後者であることがなぜか多かったりします。
おそらくは、そういう名付けを子どもに対しておこなう → ジェンダーバイアス度が低い親 → に育てられたジェンダーバイアス度が低い子 のほうが、やはり満咲とはソリが合うってことのようです。

そんなふうに思いつつ、あらためて満咲のクラスメートたちの名前を確認していくと……

ん?

「な……、なんじゃこりゃ!?」

な、なんと満咲と同じクラス

まるで


「性同一性障害をテーマにしたドラマの主人公」

みたいな名前の子が


2人もいる~っ!


おぉ神よ

なんということでしょう

まさか我が娘・満咲が性の多様性に関しては
並々ならぬ事情通であることを
知っての配剤なのでしょうか!?

よもやそんな運命が用意されていようとは…

つまりこれは
入学式の後、驚きの展開がっ!
ということなのですか?


………と一瞬ビビリまくったのですが、

その後の状況を見る限りは、単に名前がたまたまソレっぽいというだけのようでした。
(ホッとしたような、ちょっと残念!?なような……)

とはいえ、この件にかかわらず、この先は思春期のド真ん中へ突入していく年代です。
何らかのセクマイ事象がないとは限りません。
(むしろあると見るべき1学級に1人は何らかのセクシュアルマイノリティ生徒がいると思ってくださいと、教職員研修などでは必ず言っているワタシ)

なので、そのときにはミサキさん、ひとつヨロシク頼みますワ(^o^)丿

いずれにせよ今はじまる新しい物語。

てなわけで皆様「今週の佐倉満咲・中学生編」に乞うご期待!


※「性同一性障害をテーマにしたドラマ」では主人公が男女という枠にスッキリ収まらない存在であることを視聴者にわかりやすく提示するために、名前は典型的に男女兼用可能な中性的なものが採用されることが多いイメージがありますが、むろん現実には親は子の出生時にそこまではわからないので、むしろ男らしさ/女らしさに溢れた名前が付けられていることのほうがしばしばです。
それゆえに当人が自分の名前を好きになれずに自己肯定感が下がったり、性別を変えて生活する際に名前が障害になるため、戸籍改名を強く望んだりすることになります。

 

……………そんなふうに思ったりもしながら始まった新学期、現在でははや3週間が経過しました。

今では満咲も、なにやら制服姿もサマになるようになって、新生活にすっかり馴染んでいる様子です。

部活も始めたようで、おおむね毎日が楽しそうな様子には、親としては一安心といったところです。

部活に関しては、やはり「お父さん」のように性別違和とかがあると…

 男の子は体育系クラブのほうがよいというような無言の圧力
 (それなりに仲良い子たちも嬉々としてそれに従う疎外感)
    ↓
 でも男子ばかりになる集団環境はなじめない
 (男子どうしで苦手なスポーツなど最悪)
    ↓
 一方で文化系クラブは事実上女子専用で男子が入り難いものも少なくない
 (茶道や華道とか家庭科部とかも……)
    ↓
 選択肢が非常に限られる
 (すでに漫研とか放送部くらいしか… もしくは下校部^^;)

……なんてことになるのですが、ソレがないうえに、ジェンダーバイアスのしがらみからも発想が自由な満咲は、じつにのびのびと好きな部活を選んだようで、今に始まったことではないですが、ちょっと羨ましいです。
…………いっぺん尾道の神社の階段を抱き合って転がり落ちてやる!(^_^;)

 

でもって、少し落ち着いたタイミングということで、入学説明の書類などを整理したりしていると、服装規定に関するプリントなどもありました。

かつての校内暴力が盛んだったような時代ではもはやないので、私の中学生時代とくらべても、いわゆる服装規定の校則も、全体としてはかなり緩やかです。

まちがっても「男子の髪は眉にかからない耳にかからない襟にかからない」なんて無粋な禁則事項はなく、男子のロン毛もいちおうはOKのように見受けられます。

とはいえ、その「男子」「女子」にまつわる詳細は、若干気になるところです。

思えは中学時代などの私はもちろん校則には苦しめられましたが、それはいわゆる尾崎豊の歌的な意味合いでの自由を束縛するものであるという側面もさることながら、やはり男女で異なるダブルスタンダードのうちの「男子」のほうを有無を言わさず適用されることへの生理的な反発でもあったと、今では思えます。

そんな校則の「男女別」の最新事情は、はたしてどうなっているのでしょうか?

いちおうウチの近所では出席簿が男女混合名簿になった頃合いに、制服が「女子もズボン可」になったりもしているという話で、満咲などは、いったいどんなジェンダーフリーオーラが出ていたのか、制服採寸の日に、業者さんからやたらしつこく「ズボンもありますけどぉ」とアピールされたりもしていました。
もっとも女子のズボンOKとはいっても専用のデザインのものが用意されているわけではなく、男子用として作られているものを流用することになるのであまりカワイクありませんから、余程の事情がある場合でもなければ選びがたい → 選んだことが余程の事情の存在を物語ってしまう → ますます気軽には選べない …んですけどね。

そこで「詳細は生徒手帳」と記されている保護者向けプリントの記述にしたがい、満咲に生徒手帳の当該ページを見せてもらいました。

すると、まずもって、その服装規定について書かれたページというのが、分量的にも3ページほどしかなく、いゃコレじゃ「詳細」じゃないやん! という簡素ぶりなのです。
さすが今どきの校則。

でも、量にかかわらず質がモンダイな場合だってあるわけです。

どれどれ………

  服装:
 標準服を着用する
 スカート丈はひざがかくれる程度…

  頭髪:
 男女ともパーマ・染色は禁止
 髪を束ねるゴム・ピンの色は自由
 ただしリボンや飾りになるものは禁…

  靴下:
 自由
 ストッキングはベージュ系または黒色で無地……

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お、…おおっ!

こっ、これは!!

ものの見事に、「男子は△△」「女子は◆◆」
などとは書いてない

これはスゴイです。

フツー世間一般では「スカート」とか「ストッキング」には【女子の】って枕詞を接頭させたくなっちゃうもんですが、そこをグッとこらえた痕が行間から滲み出てくるようです。

時代は進化した、と言うべきでしょう。

しかし、その真骨頂は標準服の図解のページにこそありました。

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……………………。

あぁぁぁ~っ!


こっちが女子で、そっちが男子とかの、
キャプションが付いてねぇ!!


ということは、つまりアレですね。
「服装:標準服を着用する」で、かつその「標準服」がこのような示され方だということは、論理的にはそういうコトなわけじゃないですか。

だからたとえ『ハートキャッチプリキュア』のいつきちゃんでも、あるいは『IS』のハルちゃんであっても、この規程なんだったらば…

「その日その日の気分で、
  どっちでも好きなほうを
 かわるがわる着て
いけたら、
  ソレがいちばんイイ」

…が実現可能なわけです。

家計に余裕があって2種類の制服を用意することに問題がなければ、本当にそうしたって誰からも文句を言われる根拠はないのですから。
(ちなみに残念ながらウチには家計の余裕がありません(爆))


参りました。
これは画期的と言わずしてなんと呼びましょう。

「女子のズボンOK」という噂の真相は、それのみにとどまらない、かような設定だったわけです。

少なくとも、平均的な男女の生徒が通念とは異なる性別用の制服を日常的に選択することは現実ないにしても、例えば性別違和が深刻な生徒を受け入れることになった日に、その要望を叶えるうえで、すでに服装規定上は障壁が存在していないというのは、非常に大きな意義があるでしょう。


そんなこんなで、少しイイ発見をした気分にもなった、我が娘・満咲の中学生ライフの始まりなのでした。

 

◎あと、参観日などや(今年度は委員の選に外れたとはいえ)PTAの用事などで学校を訪れた際、ワタシ的にはやっぱトイレが悩ましかったのですが、今までの小学校に比べて、今度の中学校は、わりと男女兼用多目的トイレが要所要所に設置され開放されている様子なので、私の性別についての認識が異なる複数人を前にしても多少はトイレに行くのが気が楽です。
もっとも他の保護者のみなさんも、そろそろワタシの性別についての認識に関していろいろ頭を捻るのが面倒になってきているようで、もぅこの際「名状しがたいミサキちゃんの親のようなもの」でイイや……となっているフシもなきにしもあらずな昨今です。


 


聖地巡礼をめぐる文化と経済のポリティクス [経済・政治・国際]

アニメの舞台として作品中に登場した実際の場所を探訪する、いわゆる「聖地巡礼」が注目されています。
もちろん「NHK大河ドラマ」をはじめとして実写モノではご当地が盛り上がる現象は以前からあったはずなのですが、やはりここはアニメというのが新しいところなのでしょう。

そこで、先日ワタシが実際にアニメ『輪廻のラグランジェ』の舞台・千葉県鴨川市を探訪してみた体験を元に、少し考察してみます。
(鴨川探訪の基本的な詳細の報告はお知らせブログの記事のほうで
  →「ようこそ鴨川へ!」)


実際に千葉県鴨川市へ行ってみると、体感されるのはやはり経済的な厳しさです。

アニメに登場する印象に比して、リアルの街並みは妙に鄙びているとでも言いましょうか。
アニメの中でも、市街戦の巻き添えで(物理的に)つぶれてしまった店舗が、それに先んじてすでに(経営的に)つぶれてしまっていたために人的被害がなかった……などという描写がありましたが、個人商店のみならず、駅前のイオンが入っているショッピングセンターにしても、どちらかと言えば寂れた印象があったくらいです。

統計的なデータと照らしあわせても、たしかに人口は漸減しており、全国平均と比べても高齢化が進んでいる傾向が見て取れます。

むろんこうした事態は全国的であって、千葉県鴨川市に限らずたいていの地方都市に言えることかもしれません。

この問題に抜本的で長期的視野に立った方策を立案・実施していくのは本来政治の役目なのですが、地方自治レベルではできることが限られ、国政レベルでは各地方の実状を踏まえた動きが取りにくいというジレンマに陥っているきらいもなきにしもあらず。

そんな中で、我が町がアニメの舞台になるということになれば、経済効果を期待する声が上がるのも無理からぬことですし、少ならかぬ成功した前例があると、ウチでも事前に積極的な対応をおこなおうという動きも理解できることではあります。

実際問題、アニメがなければ殊更に行こうとは思わなかったはずのワタシがかように鴨川へ来訪し、おらが丼を食べ、温泉に宿泊しているのですから、経済効果は確かにあるのです。

ただ、地元があまりにもソレを狙いすぎると、訪れる身にすればちょっとイヤラシい感じがするのも事実。

また、商工会など(!?)が先走りすぎて、一般住民の盛り上がりが一様にはついていかないという問題もあるやもしれません。

例えば個人の店先にもポスターが掲示されていたり…

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市民会館にも…

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エントランスにはポスター2枚貼りなのですが…

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このような取り組みが、行政や商工界、一般市民が一体となって連携を取れているかというと、今回の私の訪問で見た限りでは、少なくともハッキリとした成果は確認できませんでした。

この記事を書いている2012年5月現在、『輪廻のラグランジェ』は第1期の放送を終了し7月の第2期待ちなのですが、他方では『夏色キセキ』なるアニメが伊豆の下田を舞台に展開されており、静岡県下田市のほうでもいろいろと「聖地巡礼」を狙った企画に余念がないなど、同様の動きは広がっています。

しかし、上述したような課題としっかり向きあって、丁寧に事を進めるのでなければ、この先大コケする自治体が出てこないか心配は残ると言えるのではないでしょうか。


その一方、今回の鴨川訪問で、私が満足を得られたのは、やはり自分が気に入ったアニメの舞台となった現実の土地を間近に見ることができ、その具体的な実状を身近に体感できたという点です。

特に『輪廻のラグランジェ』の作品中の主人公は、鴨川の町をこよなく愛する、郷土愛に満ちた少女です。
彼女が愛する鴨川とは、いったいどんな場所なのか?
ひとりの少女がなにゆえに、あそこまで熱心に鴨川を守る戦いに勤しめるのか?

そのあたりが強い関心となったのが、そもそもの今般の千葉県鴨川市へ行ってみたいという動機となっていたのです。

しこうして、鴨川の空気に触れ、その街のエートスを感じ、そうして彼女の鴨川愛の一端に自ら体験的に触れることができたというのは、まさに「聖地巡礼」を実践した成果だと言えるでしょう。

いゃ、まさに『輪廻のラグランジェ』主人公・京乃まどかがジャージ部魂で愛する鴨川は、なるほど、美しい山と海に抱かれた平和で豊かな町でした。
行ってみてヨカッタです。

……本来的には聖地巡礼の意義とは、このあたりにあるはずです。

経済効果ばかりに目を奪われず、自分たちの郷土の文化に自信と誇りを持って、来訪者へのホスピタリテイを発揮することが、何よりもまず基本にあるべきだというのは、さて、あたりまえにすぎるでしょうか。


最後に、温泉旅館のロビーなどにも、このようなポスター掲示は見られました。

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何気ないことではありますが、むしろ事情をよく知らない人がこうした様子を見た際、まぁ何かがあるんだなと、無意識の奥に軽く記憶してくれることは、後々思わぬ繋がりとなって生きてくることはありえます。

また、それが「ロボットに乗るのが女の子だというのも今どきのアニメでは普通」という認識にも知らず知らず連なるなら、こうやって広く展開されることのもうひとつの意義ともなってくると言えるでしょう。


安易な経済効果狙いは戒められなければなりませんが、この「聖地巡礼」ブームを上手くとらえて、訪れる人と受け入れる側とその周辺の交流を紡ぎ出せれば、それはお金で測ることができる以上の価値を生み出すことにもなる――。
このことは大いに評価してよいのではないでしょうか。

 

   


 


「僕の妹はガンダムに乗れる」全12話アニメ化決定……なんてするわけないよなぁ [メディア・家族・教育等とジェンダー]

今回はもはやネタ小説オンリーです。
ご了承ヲ(^^ゞ

◎乗りかかった船なので、この際アニメ化を視野に入れたという想定で『僕の妹はガンダムに乗れる』全12話を構成し、要所要所考えてみました。


 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第4話「セーラー服ときかん坊」
(全略)


 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第5話「教育実習!アリーサ先生の愛の熱血授業」

「アリーサ・ガンヘイルです。2週間ヨロシク」
教育実習期間がはじまり、ユノアのクラスにも実習の先生がやってきた。
日頃は連邦軍のモビルスーツ部隊にいるというその実習の先生は、軍務の傍ら通信制の大学で学びキャリアアップを目指しているのだという。
「……カッコイイよね、アリーサ先生」
カノンは早速ちょっとミーハーな感想を口にする。
「そうだね。……なんか性別を越えた魅力があるよね」
ユノアもとりあえずそう応じたが、たしかにどこか心惹かれるものがあった。
実際、男子よりもむしろ女子の間でアリーサ先生人気が熱を高めるのに1日はかからなかった。
(中略)
昼休み、日直だったユノアは、クラスの分の提出物を届けに行った。
「ガンヘイル先生、プリント集めてきました」
「おお、ご苦労。こっちに置いといて」
昼食を終えたばかりなのか、ややくつろいだ感じのアリーサ先生は、裏表のないサッパリした雰囲気の笑顔を見せる。
「あの……ガンヘイル先生」
ユノアは思い切って尋ねてみた。
「先生は教育実習が終わったら、また軍に戻られるんですよね」
「そうだな。今は無理を言って休暇扱いをもらってるけど、そうそう任務に穴を開けるわけにはいかないからね」
「せ、先生は、モビルスーツに乗って戦うときって、怖く……ないですか?」
「そりゃ怖くもあるさ。戦争だからナ」
「…………」
「でも、だからって逃げてちゃ始まらない。軍に入って、大切な人を、平和な日常を守りたい……、それってべつに誰かから強制されたわけじゃない、自分で決めた気持ちだから」
「自分で決めた気持ち……」
「ただ……戦争なんてないにこしたことはないんだ。相手も同じ人間だったら、本当はきっとわかりあえるはずなんだしね」
「同じ……人間だったら?」
「だから先生は……、一モビルスーツパイロットとはまた違う視点から戦争と平和について考えたくて、それで大学の勉強を始めたんだ。……ちょっとエラそすぎっかな、ハハハ」
「いえ……、そんなことないです、ステキです!」
(中略)
「アリーサ先生の大事な教育実習を邪魔するなんて……、絶対に許さない!」
敵ティラノサウルス型の断末魔の咆哮へ向かってユノアはライフルの照準を定めた。
「ガンダムレインボーキュアシュートっ!」
虹色のビームを浴びてティラノサウルス型の敵もモビルスーツ型のときと同様に浄化されていく。今回コアにされていたのは標本の化石だったようである。
「先生っ!」
ユノアはハッチを開けてガンダムから飛び降りた。
「センセイ、センセイ……ハロ!」
ハロが少し戸惑い気味にユノアを追いかける。
「アリーサ先生、怪我は?」
「大丈夫、こんなのかすり傷だよ」
右腕を押さえているアリーサ先生だが、実際負傷はさほど深くないようだ。よかった。ユノアは胸をなでおろした。
「……しかし驚いたなぁ」
「すみません、コレ、公にはできないことで……。軍でも上層部しか知らないはずなんです」
「いやいや、てゆーかユノアちゃんがあんなに……ガンダムのパイロットをしてたなんてね」
「……アタシもガンダムで何度か戦って、その度に怖いこともあったけど、でも敵がヒドイことをするのを見たら、やっぱ放っておけないんです」
「そうだな……」
「だからいつもコクピットの中で、気が付いたら敵に向かって叫んでるんです。……『絶対に許さない!』って」
「あぁー、そりゃイイ。『絶対に許さない!』かぁ。……うん、よしソレをユノアちゃんの決めゼリフにしよう」
「え、えぇっ?」
「よし、練習しよう。こうやってポーズを決めて……『絶対に許さない!』」
「…………」
「ほらほら」
「あ、ぜ『絶対に許さない!』」
「『絶対に許さない!』」
「『絶対に許さない!』」
「絶対に許さない!」
「絶対に許さない!」
ガンダムが見守る校庭に、ユノアとアリーサの楽しそうな声はいつまでも響いた。


 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第6話「波乱のモビルスーツ大会(前編)」
(全略)


 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第7話「波乱のモビルスーツ大会(後編)」
(全略)


 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第8話「謎の転校生」

「では今日はまず転校生を紹介します」
朝のホームルーム、担任の先生がそのように切りだすと、教室が軽くざわめくのは、まあ一般的な反応である。
「珍しいよね、この時期に……」
「うん、どんな子かなぁ」
ユノアもまた左隣、窓際の席のカノンからの言葉を受けて、そんなふうに新しいクラスメートへの期待を口にする。
はたして、先生に招き入れられて姿を現したのは、群青色の髪にすみれ色の瞳を持つ女の子だった。
上品で清楚な雰囲気の中に、どこか不思議な魅力を秘めている。
「……ちょっと、ユノア」
思わず見とれてしまったユノアは、カノンから突っつかれてハッとする。
どうしてだろう。どこかで会ったことがあるような気がする……。
「ユリナ・ガレットです。コロニー・ノートラムから来ました。よろしくお願いします」
そうこうするうちに転校生は簡潔に自己紹介を終える。
「じゃぁ席はこの列のいちばん後ろに用意しといたから」
そんな先生の言葉どおり、たしかにユノアの右隣に新しく空席が設けられていた。
ユノアが、その席へと歩み寄ってくるユリナを吸い込まれるように見つめていると、必然的に目が合ってしまう。
ユリナが微笑とともに軽く会釈したので、ユノアも慌てて笑顔を作るとユリナに声をかけた。
「よろしくネ」
ユリナは落ち着いた動作で着席すると、
あらためてユノアのほうへ向き直ると言葉を返してくれた。
「はい、よろしく。…………ユノア・アスノさん」
ユリナの瞳が少し妖しく光ったように見えた。
「え?」
(中略)
「もぉ、お父さんもお兄ちゃんも、帰ってくるんならもう少し早く連絡しといてよね」
文句を言いつつも、ユノアの機嫌は悪くはなかった。
今日は新しい友人としてユリナを自宅での昼食に招いているのだが、日頃は軍務で忙しい父フリットと兄アセムもたまたま休暇が取れたということで、早朝、帰省してきていたのだ。
「よしっ」
料理の段取りがだいたい整い準備が仕上がったちょうどそのとき、来訪者を告げる呼び鈴が鳴った。
(中略)
「お邪魔します。ユリナ・ガレットです」
ユノアによる紹介に続けて、ユリナがそう言うのを待たずに、父と兄はなぜか激しい反応を示していた。
「ユリ……………………ナ?」
「……ガレットって!」
(後略)


 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第9話「狙われた学園祭(前編)」
(全略)


 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第10話「狙われた学園祭(後編)」
(全略)


 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第11話「裏切りのワルプルギス」
(全略)


 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第12話「【最終回】生きるのをあきらめないで!今こそ宇宙に心の花を咲かせよう」
(全略)


(^^)


 


機動戦士ガンダムAGE3世代目キオ編の期待と不安 [メディア・家族・教育等とジェンダー]

というわけで問題作『機動戦士ガンダムAGE』、主人公は3世代目のキオ編に移行しました。

その初回を見る限りは、とりあえず心機一転の第1話として見れば、まずまずイイ感じのロボットアニメだったと言えるでしょう。
往年のZZガンダムへのオマージュとも見られるガンダムAGE-3の合体システムを伴った初登場も一定のカタルシスを伴った演出として評価できます。

過去2世代においては空気キャラなどという手厳しい評価もあったヒロインポジションも、今度のウェンディは多少は個性的で行動力がありそうな片鱗を見せていました。
まぁ作品としてはこの3世代目で終了なので、ウェンディはエミリーやロマリーのときと違ってキオと結婚して子ども(それもできれば男の子)を残すという使命の桎梏からはじめから解放されているという効果は思いのほか大きいかもしれません。

ただ、すでに祖父となった1世代目の主人公フリットが、いまだに少年時代の怨念から敵への復讐心に囚われた果てにいろいろお膳立てをして、孫キオへと血縁に基づいたガンダムの継承を画策している姿は、どうにも気持ち悪かったですね。

今回はキオが一人っ子なので、兄と妹で差が付けられる問題は発生しませんでしたが、依然として、本人の意志よりも先に、まずは血縁によって方針が決められてしまっているというところの描写が、違和感を視聴者に与えないようなものにはなっていませんでした。

あるいは、このように何十年も復讐心を燃やし続けるというのも、リアリティとしてどうなのかという気はしますし、それは決して平和で皆が幸せな世界を創造していくためにはならないわけなので、もしもこの先そのあたりの描写がキチンと落とし前をつけるものにならないのなら、これまた『機動戦士ガンダムAGE』の難点として再浮上してくることでしょう。

 

◎そんなこんなで、ユノアがガンダムで謎の敵と戦うスピンオフ小説『僕の妹はガンダムに乗れる』、さらに続きを書いてみました(^^)v


 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第3話「親友はXラウンダー」

「はぁ……」
昼休みの校舎の屋上で、ユノア・アスノはひとりため息をついた。
あれ以来、親友のカノン・アスカとは気まずい雰囲気が続いている。
(こんなことならガンダムに乗ったりするんじゃなかったかなぁ……)
カノンを危険に巻き込みたくない。みんなを守りたい。みんなの平和なトルディアを守りたい。大好きな人達が暮らす、このふるさとのコロニーを……。
その思いは確かにある。
しかし、自分が謎の敵と戦うために伝説の戦士としてモビルスーツに乗っているなんて秘密を抱えること自体が、平穏な日常に影を落としてしまうとなると、いささか気が重くなる。
(あ~ぁ……フツーの女の子に戻りたい)
ユノアは、その手に握りしめたAGEデバイスを見つめた。
(中略)
「アタシたちの学校にナニすんだぁぁーーーっ」
ユノア怒りのビームサーベルは、校舎に群がっていた敵の雑魚タイプのうちの1体をまずは一刀両断した。
すでに全校生徒も先生方も避難が完了しているようだったが、それでも校舎など施設に被害が出れば、明日からの学校生活がままならなくなる。
さらにユノアは校舎やその脇の花壇にまで気を配りつつガンダムの歩幅を進めると、体育館に破壊の魔の手を伸ばそうとしていた2体に、強烈な刺突と斬撃をそれぞれ食らわせる。
「みんな大好きな学校を壊そうとするなんて……、絶対に許さない!」
操縦席でいつものようにそう叫んだユノアは、残るボスキャラ敵に向かってビームサーベルを構えた。
ボスキャラ敵は一瞬ガンダムに対して不敵な笑いを浮かべたように見えた。
そして素早く跳躍すると体育館の裏手へ回り込んだ。
「あっ、待て~っ」
体育館の裏手にはモビルスーツ部の部室兼工房がある。
(中略)
「カノーーーン!」
爆風で倒れるカノンを映し出すモニターに向かってユノアは叫んだ。
まずい。これはマズイ。このままではカノンが危険だ。
(いったいどうして?)
前回といい、カノンはなぜ適切に避難せずに、こんな危ないところにとどまっていたのか??
だがふとユノアは思った。
(……もしかして、アタシを心配して?)
今日もたしか校舎から全校生徒が避難を始めた際、その流れを乱すようにガンダムを取りに自宅に戻ろうとしていたユノアを、カノンは見ていたような気がする。
「カノン……」
ともあれ、もはや迷っている場合ではなかった。このまま放置すればカノンに危害が及ぶのは確実だ。それよりは――。
意を決したユノアは、ガンダムをカノンを覆い庇う位置にしゃがませると、コクピットのハッチを開いた。
「カノン!!」
カノンの驚く顔がそこにあった。
無理もない。あの白いモビルスーツの中から現れたのが知り合いで、しかも長年の友人ユノアだなんて。
「ユノア……、ユノアなの? どうして」
「話は後。早く乗って」
「乗ってハヤク、ハヤク乗ってハロ」
ハロが合いの手を入れるようにくり返すのを聞きながら、ユノアはカノンに手を伸ばし、引っ張ってガンダムに乗せた。
単座式のガンダムAGE-1のコクピットゆえ、カノンはユノアの膝の上に斜め向きに座るような格好になった。
「ちょっと窮屈だけど、あいつをやっつけるまでガマンしてね、カノン」
(中略)
それにしても今日のボスキャラ敵はすばしこい。ユノアのガンダムがどうしても学校を慮って動きが鈍くなるのとあいまって、攻撃も防御もついつい後手に回ってしまう。
「そこか!」
ユノア会心のビームサーベルの一閃は、しかしよけられてしまった。
そして次の瞬間、姿勢を崩したガンダムの背後に敵のキックが決まる。
「ど、どうしたら……」
と、そのとき偶然ユノアとカノンの掌と掌が触れた。

何か電流が走ったような感覚が、2人を貫いた。
「な、何、今の?」
「ユ、ユノア……」
「どしたの、カノン?」
「私、わかる。敵の動きがわかる」
「え?」
「来る! 右よ」
カノンに言われるままにガンダムを反射的に動かしたユノアは、右からの敵の一撃を回避できた。
「次は上から」
カノンを信じてビームサーベルを上方へと向けるユノア。するとなるほど、今日はじめての先回り攻撃が成功した。
「行ける。これなら行けるよ、カノン!」
ここでAGEデバイスが光った。
腕先に七色の光がほとばしり、ガンダムはレインボーキュアライフルを手にする。
「……まだ来ない。今度左から仕掛けてくるような素振りがあったら、すぐに後ろを振り向いて撃って」
「わかったわ」
カノンの予告どおり、ほどなく敵は左からガンダムを襲うように見えた。ユノアはそれに構わず、ガンダムを反転させながらライフルを後方へ向ける。ソコにはドンピシャ、ガンダムを欺いたつもりの敵がいた。
「ビンゴ!」
カノンが嬉しそうに叫んだ。
「OK~! ガンダムレインボーキュアシュートっ!」
(中略)
戦いが終わり、ユノアとカノンは、ガンダムが傍らに佇む校舎の、その屋上で、向かい合った。
「今日はありがとう。カノンのおかげで勝てたよ」
カノンが発揮したのが、脳の通常は未活用の領域まで活性化させることで発現する超感覚で、通称Xラウンダー能力と呼ばれるものであるというのは、後で知ることになる。
「私も、ありがとう。この前だって……ユノアが守ってくれてたんだね」
「ごめんね。アタシがガンダムに乗ってること秘密にしとかないと、みんなに危険が及ぶって思って」
「もういいよ……ユノアは悪くない。私のほうこそ、そんなこと知らなくて、それで私、ユノアにひどいこと言ったよね、本当にゴメン」
長年の親友である2人にそれ以上言葉は不要だった。
見つめ合い手を取り合ったユノアとカノンは、そうして互いの友情を確かめあう。
「カノン……」
「ユノア……」
それからユノアはおもむろに決意を語った。
「ねぇカノン……、アタシ、この戦い、最後までやりきるよ」
「…………」
「最初は……トルディアを守りたい、自分にそれができるんならって、はりきってガンダムに乗ったけど、……カノンと気まずくなって、自分だけこんな思いをしなきゃいけないんなら、こんなのもうイヤだって、ちょっと弱気にもなってたんだ」
「…………」
「でも今日あらためて思った。アタシやっぱり、みんなのために戦いたい。自分が、カノンや学校のみんな、トルディアの人々を守ってみたいって」
「ユノア……」
「そう思わせてくれたのはカノンだよ。これからもカノンがいてくれたら、きっと絶対大丈夫。あらためて……ありがとう」
「私、応援する。ユノアなら、きっと最後までやり遂げられるって思うから」
「うん……」
上空は夕刻の晴れた空にモードが変わっていた。コロニーの気象や昼夜をコントロールするコンピューターも正常に戻ったようだ。
屋上の2人をガンダムは見つめ続けている。
2人が守った学校には、明日になればまた新しい1日が始まるのであった。


☆彡


さっそく↓ソバスチン様よりコメント↓いただきました。(2012/04/30)
 >ソバスチン様、某所ではお世話になってます。
 >スマイルプリキュア関連の記事も近日まとめたいと思います
非常に的確なご指摘です。
特に『フリットには「死んだユリンの名誉と尊厳を守る」という発想はスッポリ抜けてる』という点は、私もうっかり見過ごしていた重要なポイントです。
フリットの描写が気持ち悪い原因として、おそらく大きな比重を占めているのでしょう。
つまるところフリットは自分の若き日のリア充を妨げられたことを恨んでいるわけで、ユリンそのものは自分のリア充のための道具にすぎなかった(往年のフリットもまたユリンの人格を大切にしているわけではなかった)……ように見えてしまう、すなわち制作側がやはりじつはそういう発想なのだと解釈すれば、いろいろつじつまが合います。
制作側がそんな(女性はしょせん男のための道具)発想であればこそ、復讐に燃えているはずのフリットに一方で結婚させるという展開も、なるほど、させてしまえるのかもしれませんね。


 


勢いで「僕の妹はガンダムに乗れる」の続きを書いてみた [メディア・家族・教育等とジェンダー]

『機動戦士ガンダムAGE』、「親子三世代にわたる物語」の2世代目主人公アセム編も、先週いちおうの決着を迎えました。

が、やっぱり最後までいろいろ酷かったです。少なくとも女性キャラの描き方は、いまどきのアニメに期待される水準からすれば最悪と言っても過言ではないかもしれません。
前記事にいただいているggさんのコメント(ありがとうございましたノ)にもあるように、まさに女性の人間性がキチンと描けていないのです。

ロマリーは結局はアセムと結婚するためだけのキャラで終わらせられてしまいました。
しかもラストは教会での結婚式のシーンって、ようするに「結婚こそ女の幸せ」ということが言いたいんでしょうか?
あんなにも活躍する場面がなかった理由は、「学生気分のままで軍に入ってみた自分はまだまだコドモだったのだ」という主旨のセリフによって、制作側は見事にロマリー本人に責任転嫁までしています。
いやいや、ロマリー本人や、ましてやCV花澤香菜さんのせいじゃないから!

眼鏡っ娘整備士レミも、プロポーズを受諾した途端に戦闘に巻き込まれて死亡という展開は、つまるところ「結婚こそ女の幸せ」という価値観に則った、その裏返しの悲劇描写の犠牲になったわけですね。
あの初登場時のメカオタクぶりなどこそ、自立した女性の生き方を示すひとつの事例として多くの人が評価していたはずなのに、どうも制作側はそこに内在する価値には気づいていなかったようです。

そして、せっかくのアリーサの役回りも、どんどん中途半端になってしまいましたし、かろうじて設定上は医療ボランティアに生きがいを見出したとされるアセムの妹ユノアも、肝心のその件が、アセムのセリフで語られるだけという扱い。

もぅものの見事な勘違いっぷりなのではないでしょうか。

なんというか、この件に関してこの観点から批評しているのがワタクシ佐倉智美くらいしかいないからまだいいようなものの、もしも永年にわたってメディア表現の中のジェンダー問題に取り組んでおられるフェミニズム界の重鎮の方々に『機動戦士ガンダムAGE』を見せたら、その酷評はこんなものでは済まないはずです。

挙句、「いまだにアニメ表現の中での女性の描写はこんなものでしかないのか!?」なんて誤解されてしまったら、いったいどう責任を取るつもりでしょうか。

(念のため言っておくと、もっと画期的なアニメはいまどきたくさんあります)

とにもかくにも、女性キャラが男性キャラと対等な人格を持った人間ではなく、あくまでも男性キャラにとっての都合のよい存在でしかないのでは、名作とは対極の位置にあるとしか言えません。

はたして『機動戦士ガンダムAGE』、3世代目主人公キオ編はどうなるのでしょうか?

 

◎というわけで記事タイトルのとおり、さらに調子に乗ってユノアが主人公のスピンオフ小説『僕の妹はガンダムに乗れる』の続きを書いてみました(^o^;)

 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第2話「俺の妹がガンダムに乗れるわけがない」

「ねぇ聞いた、ユノア?」
「え………な、何?
「昨日のヴェイガンの襲撃だよぉ。なんでも白いモビルスーツが颯爽と現れて撃退しちゃったってウワサだよ」
「そ、そうなんだ」
「知らないの? …でも大丈夫だった? あれってユノアの家の近くだったんじゃないの??」
「う、うん~、まぁ………」
屈託なく話しかけてくるカノン・アスカに、ユノア・アスノは少しキレの悪い返事をしながら笑顔を作った。
苗字の綴りが途中まで同じなため出席番号がいつも隣どうしで、幼稚園のころ以来の親友であるカノンは、ユノアにとって何でも隠し事せずに話し合える仲であるはずだった。
(ちがう…、あれはヴェイガンじゃない……)
ユノアは昨日の戦いを思い返す。
ガンダムのビームサーベルが切り裂いた雑魚敵は次々と実体を失い光の塊として四散していった。
そのときコクピットの中でハロは、自分もまた「謎の妖精プログラム」が起動したまま、あれはトルディアのどこかで誰かがプログラムした闇のウィルスが、スーパーコンピューターから発せられるエネルギーとして実体化したものだと説明した。
そして最後に残った1体のモビルスーツ型だけは、いわば格上敵で手ごわかった。
「アイツには何か実体があるハロ。憑依している闇の力を浄化することが必要ハロ」
「じ、浄化って……、どうやって?」
ハロがデータを転送すると、AGEデバイスはいったいどんな原理だったのか物理法則を無視するように、ガンダムの武器を宙空に生成した。
「『レインボーキュアライフル』ハロ!」
コロニーの中でこんなビームライフルみたいなのを派手にぶっ放してよいのかとの常識的な逡巡はあった。しかし、これはこのタイミングで不思議な力によって出現したもの。大丈夫だというユノアの判断は早かった。
「わかった、こいつで撃てばいいのね」
ユノアが操るガンダムはライフルを手に取り狙いを定めた。
「ガンダムレインボーキュアシュートっ!」
そうして虹色のビームが敵に命中すると、黒いオーラのようなものが蒸発するように霧消し、やがてその場に倒れこんだのは、無人のモビルスーツだった。本来トルディアの警護のために配備されていたはずの連邦軍の量産型である。
その後、街で暴れまわったのがじつは連邦軍のモビルスーツだったのはマズいということで情報統制が敷かれ、襲撃はヴェイガンによるものと発表、ガンダムのことも公には伏せられた形となっている。ユノアの父であり連邦軍の司令官であるフリット・アスノが裏から手を回したというのも大きい。
それを受けて、バルガスとも相談した結果、ガンダムをユノアが動かしていたことは、公言しないほうがよいだろうということになったのだ。
(まーお父さん的にはアタシがAGE-1を動かしたことに焦ってたらしいケドねぇ。お兄ちゃんなんか「俺の妹がガンダムに乗れるわけがない」とか言ってそう……)
とはいえ初戦は首尾よくしのいだユノアにしても、敵がやってくる大元の原因まで取り除けたわけではない。再びの来襲は必ずあると言えよう。
そうなれば今後も上手く戦っていけるのかとなると、ユノアにも不安は残る。万一の場合に、カノンをはじめとした学校のみんなも危険の巻き添えにしてしまうようなことは避けたかった。
だとすれば、やはり自分がガンダムのパイロットをしていたなどとは、吹聴してまわれるものではなかった。
「ねっ、ユノアって!」
カノンのやや語気を強めた呼びかけに、ユノアは我に返った。
「あ、う、うん……」
「もーどうしちゃったのユノア、なんか怖い顔で考え込んじゃって。今日はなんかヘンよ?」
「え、そーかな……、あっ、その、ほら、もうすぐ期末テストだし」
さらに愛想笑いを重ねて話をはぐらかすかに見えるユノアに、カノンは不審の念を抱いた。
(ごめんね、カノン。でもこれ、言えないんだ……)
心の中で謝るユノアの気持ちを、しかしこのときのカノンがすべて理解できるはずはなかった。
(中略)
あちらこちらで火の手が上がった。
スタジアムはたちまちパニックの坩堝と化した。
逃げ惑う人々。阿鼻叫喚。
ユノアとカノンは手を取り合ってなんとかスタジアムの外まで脱出した。
3体の敵モビルスーツ型はなおも少しずつ移動しながら破壊を続けているが、ここまで来れば緊切した危険レベルは一段下がったと見ていいだろう。
ユノアはカノンに向き直った。
「カノン、ごめん、アタシ行かなきゃならないの。あなたはこっちから先に逃げて」
しかしカノンの納得がいかないという反応は、しごく真っ当なものであった。
「行くって…………、いったいどこに、こんなときに!?」
「それは……」
ユノアは困惑した。
カノンが訝るのももっともだ。しかしバルガスからの連絡では、裏手にカートを回してくれているはずだ。早く家に戻ってガンダムを出さなければ……。
「ホントにごめん。でもアタシがやらなきゃ……ならないことなの」
そう言って、背を向け走りだそうとするユノア。
「ユノア! 私に何を隠してるの?」
しかしカノンの叫びが心に刺さって足が一旦止まる。
「こないだからずっとそうよ。今までふたりは、どんなことだって話し合ってきたじゃない。その私にも言えないことって……何なのよ」
唇を噛むユノア。しかし時間はなかった。
「…………いつか必ず話すから。だから今は逃げて、カノン」
「ユノア……」
涙目のユノアが振り向くと、カノンの頬にも滴が伝っていた。
(中略)
「遅い!」
十分に引きつけた雑魚敵2体の攻撃を交わしたユノアのガンダムは、その2体の反転に一歩先んじてビームサーベルを振るった。
ビームは敵の急所を貫いた。
もはや実体化を保つことができなくなった敵は、ただのエネルギーの塊となり、一瞬の後に黒いオーラとして雲散した。
「宮本武蔵直伝、ビームサーベル二刀流!」
学校の国語の教科書で仕入れた知識を元に、少し決めゼリフっぽいことを口にしてみるユノア。
「ムサシ、ミヤモトムサシ、ユノア二刀流ハロ!」
ハロの無邪気なリアクションに少し心が癒される気がするユノア。
「あとはあのボスキャラだけ!」
前回の例からすれば、あの個体だけは何かの物体に闇のエネルギーが憑依しているはずだ。またあのライフルで浄化すればいい。
ユノアは操縦レバーを器用に調節してガンダムの姿勢を整える。
と、そのとき近くのビルの袂に人影が見えた。
「……カノン!?」
ユノアは絶句した。
どうしてカノンがまだあんなところに……。
その隙をついて敵はトンファーのような武器でガンダムに迫ってきた。
かろうじてかわすと、勢いでそのトンファーはスタジアムの外壁を打撃し、破片が地上へと落ちていく。
「あっ!」
まさにカノンのいるあたりに大き目のコンクリート片が落下しようとしているのが見えた。
「だめーーーっ!」
ユノアは操縦レバーを必死で倒し、カノンと落下するコンクリート片との間にガンダムを滑り込ませた。かろうじてコンクリート片は排除された。
ガンダムのメインカメラは、驚いたようにガンダムを見上げるカノンと目が合った。
しかし、むろんこのときカノンにはパイロットがユノアだとはわからない。
ユノアはガンダムの腕の動きでカノンにこの場から離れるように指示をすると、あらためて敵に対峙した。
「アタシの大切な友だちを危険な目に遭わすなんて……、絶対に許さない!」
と、そのときAGEデバイスが光った。
同時にコクピットの外でも七色の光がはじけると、前回の戦いのときとと同様に、ガンダムはレインボーキュアライフルを手にしていた。
(後略)


(*^_^*)


 


女性の扱いが酷い機動戦士ガンダムAGEが強いられてるもの [メディア・家族・教育等とジェンダー]

『機動戦士ガンダムAGE』は引き続き厳しい状況です。
いわゆる「親子三世代にわたる壮大な物語」における、2世代目の主人公によるアセム編も、当初は「学校行事の最中に敵が襲撃してくるプロットがまるでプリキュアみたいな今までにないパターンのガンダム物語でコレはおもしろい」なんて具合に好評だった[ 学園編 ]の中でこそアセムの性格のよさも光っていたのに、そういった視聴者ニーズを捕らえられないままに、今では主人公の人格がどんどん歪んで壊れていく鬱展開に陥ってしまい、かといってそれも作中の登場人物たちがちょっとずつ気をつけて譲り合えば防げるもののようにしか見えず、人間社会の深い業の中での若者の悩ましい葛藤が的確に描けているわけでもなく、結局は視聴者の誰もが望んでいない安易な作劇が制作サイドによって続けられているという印象が否めません。

とにかく『輪廻のラグランジェ』を観て『モーレツ宇宙海賊』を観て、それから『機動戦士ガンダムAGE』を観ると、いちじるしく見劣りがするというのは、あくまでも「個人の感想です」ですが、同じような「個人の感想」を持つ人が相当に広汎に存在することも、例のツイッターなどでのやり取りを見ても確かであります。


特に比較に出した2作品と並べると、明らかにマヅいのは女性キャラの描き方です。
『機動戦士ガンダムAGE』では生き生きと活躍する個性的で魅力のある女性キャラがいない、もしくは、個性的で魅力のある女性キャラを生き生きと活躍させることが上手くできていない のです。

そもそもその点で言えば「親子三世代にわたる物語」というのがマチガイの元で、そういう枠組みの中では、いきおい女性キャラは、以前に某厚生労働大臣が辞職に追い込まれた失言のごとく女は産む機械」ポジションに陥る危険が大です。

そして、世代がつながれることが前提となると、今の代の主人公がどのヒロインと結ばれて子どもを作るのか――のような異性愛主義的な読み解きを視聴者が強いられることにもなります。

そのあたり、どこか重苦しい家父長制の空気感となって、作品世界にまるでミノフスキー粒子のようにまとわりついているのが、視聴者にとってあまり心地よいものではないと言えるかもしれません。


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実際、2世代目主人公アセム編では、メインのヒロインとしてロマリー・ストーンという人物が設定されていますが、これがまた絵に描いたように凡庸な、ただちょっとカワイイだけの中途半端な少女でしかないのです。

演じている声優・花澤香菜さんも、同じく声を担当している『モーレツ宇宙海賊』のチアキ・クリハラをノリノリで気持ちよさそうに演じておられるのに比して、なんかつかみどころが捉えきれずに演じにくそうにしている様子が伝わってくる気がします。
同じように宇宙船のブリッジで通信オペレーターをするシーンがあったりするものですから、余計にそのあたりがハッキリ比較できちゃったりしますし。

まぁチアキ・クリハラは、我が娘・満咲からもお墨付きが出ていて、「喋り方がカッコイイ」などとお気に入りの様子ですから、まちがいなく個性的で魅力ある女性キャラが生き生きと活躍している事例でしょう。

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§さまざまな女性が活躍する『モーレツ宇宙海賊』
 中央の主人公・加藤茉莉花の右がチアキ・クリハラ

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一方、アセムのパイロット仲間というポジションで、アリーサ・ガンヘイルという女性も配置されています。

彼女は………カッコイイのです。

裏表のないサッパリした性格で、見た目もイイ意味で性別を感じさせない。
そして、男女という制度を超えたところから主人公アセムの良き友であろうとするその態度が、非常に好感が持てるのです。

演じている小清水亜美さんも、上記ロマリーの例と逆パターンで、主人公としてキャラが定まらずに苦労していた印象のあるスイートプリキュアの北条響とは対照的に、上手く役づくりを仕上げてイイ味を出しています。

アセム編のキャラクターとしては随一光っている彼女とアセムの友情の展開は、ある意味現在唯一楽しみなポイントでもあります。

……が、今の展開の方向性を見た限り、ワタシが期待するものをやってくれそうな気配ではないですねぇ、やっぱり。


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あと、整備士という役どころのレミ・ルースという眼鏡っ子も、女性キャラとして大いに画期的です。
が、残念ながら初登場時のメカオタクぶりなど、女整備士キャラとして期待したい描写はどんどん縮小され、他の男性キャラからの恋愛対象という矮小化された位置付けに収められようとしているのは残念と言うより他はありません。

結局のところ、これらは制作者の女性というものに対する発想を反映していると言わざるを得ないのでしょうか?


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そうして、もはや出番がまったくなくなったのが、主人公アセムの妹・ユノアです。

この前にも述べたとおり、アセムの父であり第一世代目の主人公フリットは、アセム編の冒頭で2人いる子どもたちのうちのアセムのみにガンダムを継承させようとします。
男の子と女の子なら、コレはもちろん男の子のものと、性別役割をまったくの当然のものとして前提にしてしまっているのは、はたして作中のフリットがそういう考え方だからなのでしょうか。
「ガンダムに乗って人々を救う使命がアスノ男の役目」で本当によいのでしょうか?
そしてその際のユノアのセリフ
「えぇー、イイなぁ、お兄ちゃんばっかりズルい~」
…というような訴えは、まったく無視された格好です。

でもって、その後は出番ナシでは、ユノアを登場人物として設定する意味がわかりません。
いやマジこれならアセム一人っ子でもよかったんじゃね?

もっと言えば(アセムには悪いけど)むしろユノアが2世代目の主人公でもよかったのではないでしょうか。
過去のガンダムワールドでは女性がモビルスーツのパイロットである例なんてフツーにあります。ここらで一丁、主人公として女性をガンダムに乗せることに何の問題もありません
そうして、女の子どうしの友情エピソードなどを織りまぜながら、十代の少女が人々を守るために戦うことを通じて自分を見つめ直す物語を仕立てていけば、それはまさに新しいガンダム像にもなりえていたはずです。

いわばソレをできなかったことが、『機動戦士ガンダムAGE』が同じようにロボットや宇宙を描いているのに輪廻のラグランジェ』や『モーレツ宇宙海賊』と比べて見劣りがする最大の原因を象徴的に示しているのかもしれません。


※当記事の画像はすべて公式サイトよりキャプチャ
 →機動戦士ガンダムAGE  →モーレツ宇宙海賊

 

◎というわけで、またまた欲求不満解消に、ユノアが主人公のスピンオフストーリー考えてみました。題して…
 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』

第1話「伝説の戦士!ガンダム再び大地に立つ」

ユノア・アスノはスペースコロニー「トルディア」にあるハイスクールの1年生。
部活はモビルスーツ部で、毎日プチモビルスーツに乗って困っている人を手助けすることに喜びを覚えている。
「じゃあね、ユノア」
「うん、また明日ねー」
期末テストが近づき、部活もなく、早めに学校が終わったその日、ユノアはのんびりと家路を歩きながら上方を仰いだ。
「うーん、気持ちいいナ。天気の予定表よりも天気イイじゃんっ」」
――と、何かがユノアのほうへ向かって落下してきた。
「え、えぇっ!?」
避ける間もなくバレーボールのようなその物体はユノアの顔面を直撃した。
パッカーんっ!
「ぃいったーい」
気を取りなおして前方を見ると、反動で数メートル転がったそのボール物体は、再びユノアのほうへ飛んでくる。
「見つけた~っ! ボクの名前はハロだハロ。チミからは救世主の気配がするハロ。お願いだ、伝説の戦士になって、ボクたちの世界を救って欲しいハロ!」
(中略)
「事情はだいたいわかったわ。じゃその伝説の戦士にはどうやって変身するの?」
「…………『変身』ハロ?」
「そうだよ、アニメとかだったら、こういうときハロからなんかこういうアイテムか何かを授かって、それを使ったらピロリロリ~~ンって……」
「そんなのはないハロ」
「えぇーーっ、じゃどうやって敵と戦うのよ?」
「頼みを引き受けてくれたんなら、その方法まで自分で考えて用意してほしいハロ」
「うっそー、ありえな~い。アタシあくまでもフツーの女子高生にすぎないんですけどぉ」
一時はその気になったユノアだが、妖精ハロの不思議な力で美少女戦士に変身するわけではないとわかり困惑する。
そのときだった。
大きな爆音。
そして、コロニーの大地が激しく振動した。
「きゃっ、何!?」
「大変ハロ、奴らがここまで来たハロ」
空中を動くいくつかの黒い影がが見えた。
(ヴェイガン? ううん、そうか、あれが……)
以前にトルディアがヴェイガンの襲撃を受けたときのことを思い出しながら、同時にユノアの記憶の中に閃くものがあった。
「伝説の」、「救世主」、かつて父と兄の会話の中に出ていたいくつかのフレーズが、まるでパズルが完成するように、先ほどのハロの話と1本の線でつながった。
そうだ。
我が家には……あったんだ。
「ガンダム!!」
(中略)
「それって……前にお兄ちゃんが貰ってたやつ、 バルガス?」
「そうじゃ、こんなこともあろうかとコピーを作っておいてよかった」
今は軍に入ってどこかでモビルスーツに乗っている兄アセムが、連邦軍司令官である父フリットから、何年か前の夕食時、同様の物体をおもむろに手渡されていたことをユノアは思い出した。
そのときは兄だけがそれを受け取ることが、自分が女の子だからと差別されているように感じて「お兄ちゃんだけズルい」などと口走ったものである。
「じゃぁ、それを使えば馬小屋にあるガンダムAGE-1を動かせるのね?」
「うむ、ガンダムのほうは、ワシが日頃から整備しておるからバッチリじゃ」
そんなやり取りのうちにも戸外からは爆発音が聞こえてくる。
スペースコロニーの地面はゆっくりゆらゆらと揺れた。
「わかった。アタシ、やってみる!」
「気をつけてね、ユノア」
母エミリーの気遣いを嬉しく思いつつ、ユノアはバルガスからAGEデバイスを受け取ると、馬小屋へと駈け出した。
「ついておいで、ハロ」
「やったーハロ、ユノアはやっぱり伝説の戦士だったハロ」
「まかせといて。あんな奴らちょちょいのちょいでやっつけてやるから!」
そうは言ったものの、AGEデバイスを握る手には汗が滲んだ。
怖くないわけじゃない。敵は本気。殺されるかもしれない。
(本当に……自分にできるんだろうか? アタシで………いいのかな??)
でも、それ以上の高揚感をユノアは感じていた。
大好きなこの町が破壊されるまま指を咥えて見ているだけしかないなんて、そのほうが頭がおかしくなりそうだ。
今の自分だけがガンダムで戦える。みんなを助けることができる。
そう考えたとき、ユノアの胸の内には不思議な熱いパワーがこみ上げてくるのだった。
(中略)
馬小屋の飼葉の山をかき分けると、ガンダムの操縦席の入り口が姿を現した。
コックピットに座りAGEデバイスをセットすると、ガンダムの起動シークエンスがスタートする。
全天周モニターが作動するのに合わせて、ユノアは操縦レバーを握りしめた。
使用人のジョセとハンスが馬小屋の屋根を開いてくれていた。
「白い機体は平和の祈り! ガンダムAGE-1、ユノア・アスノ、行っきま~す!!」
思い切りジャンプしようと目論めば、ガンダムAGE-1はユノアの思いに応えるように意図どおり動いた。
「おぉーっ、スゴイ。やっぱ部活のプチモビとはちがうなー、ガンダム」
「スゴイ、ガンダム、ユノア、スゴイ…ハロ」
馬小屋が眼下に下がったのを確かめてユノアはバーニアを吹かす。
いくつかの情報がアラートされるモニターに、しかし敵のモビルスーツ型の狼藉ぶりは目視でもしっかりと確認できた。
「アイツら、なんてことを」
もはや戸惑いや恐怖よりも、義憤が優っていた。
ユノアが操縦レバーを操作すると、ガンダムはちょうど敵の中では格上らしきモビルスーツ型の前へと舞い降りる。
思わずユノアはコックピットの中で誰に聞かせるわけでもなく叫んでいた。
「みんなが楽しく暮らしてるこのトルディアで、迷惑も顧みず暴れまわるなんて……、絶対に許さない!」
(後略)


(^o^;)


 


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